【JAPAN最新号】RADWIMPS、「沈黙」と「空間」を演出する時間芸術――『余命10年 〜Original Soundtrack〜』をひもとく

【JAPAN最新号】RADWIMPS、「沈黙」と「空間」を演出する時間芸術――『余命10年 〜Original Soundtrack〜』をひもとく
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』4月号にRADWIMPS『余命10年 〜Original Soundtrack〜』のレビューを掲載!

「沈黙」と「空間」を演出する時間芸術――
『余命10年 〜Original Soundtrack〜』をひもとく

文=小池宏和


3月4日から全国で劇場公開される映画『余命10年』。監督は『新聞記者』や『ヤクザと家族 The Family』、『アバランチ』といった映画/ドラマでヒット作を出し続けている藤井道人であり、小松菜奈と坂口健太郎がダブル主演を務めている。原作小説を手がけ、こちらもヒットとなった小坂流加は、物語に大きく関わる難病を現実に患い闘病していたが、小説の文庫版発売を目前に控えた2017年2月、惜しまれながら他界した。あまりにも切なく悲しいストーリーの中に、かけがえのない命の煌めきを見つける作品である。

その映画作品の劇伴音楽を担当したのが、RADWIMPSである。これまでにも『君の名は。』や『天気の子』で素晴らしいサウンドトラック仕事の実績を残してきたことは周知の通りだが、実写映画の劇伴は今回が初めてのことになる。そもそも、一口に音楽と言ってみても、ロックバンドとして楽曲を制作しライブを行う活動と、映画作品の劇伴を手がける活動とでは、役割も目的もまるで違う。異なる競技種目でそれぞれに結果を残すようなものと言ってもいいだろう。“前前前世”や“愛にできることはまだあるかい”といった主題歌を生み出したのみならず、『君の名は。』はサウンドトラック全編が大きな挑戦だったはずだし、『天気の子』では三浦透子というゲストボーカルにテーマ曲の歌唱を委ねたケースもあり、言わば音楽監督的な役回りに挑戦することで、表現の新たな可能性を開拓した。ロックバンドとして成長し続けるRADWIMPSは、映画音楽を手がけるアーティストとしても確かな成長の足跡を残してきたのである。そんな彼らが、初の実写映画劇伴で繰り広げる新たな挑戦とはなんなのか。重要なポイントはそこだ。今回は、映画公開と同日の3月4日にリリースされるアルバム『余命10年 〜Original Soundtrack〜』に触れるばかりではなく、映画の試写を通じて、RADWIMPSの音楽がどのような役割を担い、また映画全編にどのような影響を及ぼしているか、じっくり考えてみた。もちろん、映画本編の具体的なネタバレになるような話題には気をつけなければならないけれど、あなたが実際に劇場に足を運んだ時、RADWIMPSの音楽の力をより深く楽しめるようなテキストになれば幸いだ。(以下、本誌記事に続く)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年4月号より抜粋)


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    『ROCKIN'ON JAPAN』2022年4月号

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