現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にsumikaが登場!ほんとにライブしてると、ライブしてる感じがする。つまり生きてるんだなあっていう。ライブっていう名前つけた人センスあるなって(片岡)
希望と覚悟を詰め込んだ、初のオンラインライブ「Little Crown 2020」
終演後インタビューで4人の今とこれからを語る
インタビュー=海津亮 撮影=後藤壮太郎
sumikaにとって初となるオンラインライブは、サーカス小屋がその舞台だった。
どこに向かって何をすべきかわからない自粛期間中、ふと見つけた70年以上前の一枚のモノクロ写真がそのモチーフになったと片岡は話してくれた。終戦後、何もなくなった焼け野原に人力で仮設テントを立ててエンタテインメントを復興させようとしたサーカスのエネルギー。そんなものに今の社会状況や自分たちの物語を投影させようと思ったのだろう。「Little Crown 2020」と題されたこのライブのストーリーテラーは、ピエロ(=綴り違いのClown)である。オープニングにも、アンコールのインターバルにも、そしてエンディングにもクラウンが登場する。クラウンは我々を笑わせてくれる。楽しませてくれる。でもクラウンは悲しい。表面的な楽しさの裏にある、引き受けなければいけない苦しみや絶望を知っているのがクラウンだ。だから我々はクラウンに感情移入することができる。
ライブは“明日晴れるさ”で終わる。そして終了を告げに現れたクラウンを、再び登場した片岡が制止して、そしてアンコールが歌われる。それが“雨天決行”。オンラインライブは開催できたが、まだまだライブ再開への視界は良好とは言えない。でも前だけを向いて《足が進みたがってる》と歌う。「Little Crown 2020」はそんなsumikaが現在立っている場所をとても誠実に表現していた。
追記
このインタビューを行った一週間後、sumikaは大阪万博記念公園のステージに立った。1万人の観客はみんな声を出さずに両手を挙げてそれに応えていた。何かが確実に動き出している。それを会場のいちばん後ろから観ていて、“明日晴れるさ”と心の底から思えた。 (海津亮)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より抜粋)