【JAPAN最新号】Bye-Bye-Handの方程式、ロックバンドの少年性とロマン、完全開放!

【JAPAN最新号】Bye-Bye-Handの方程式、ロックバンドの少年性とロマン、完全開放!
中学か高校あたりで先輩か兄弟に影響されてギターに興味を持ち、身近な友達を誘って流行りの音楽をコピーしてみる。お、なんだかイケてる気がする。原動力は根拠のない自信だ。バンドってもんは大概その流れだろう、と当事者だった頃から思っていたのだが、ここ10年くらいは少々様子が違う。「ちゃんとした」バンドがとても多いし、そもそもバンドという活動形式を取らないケースだって当たり前。そういう音楽も好きだけど寂しくないと言ったら嘘になるから、初期衝動を失わずに突っ切ってきたような存在に出会えるとホクホクしてしまう。

大阪発の4人組・Bye-Bye-Handの方程式からはその匂いがする。なんせ初のフルアルバムのタイトルが『ソフビ』である。ソフト塩化ビニール。幼年期の象徴的なウルトラマンとか戦隊モノの玩具、ソフビ人形の素材。それをもじった“ソフビ人間”という曲では《ロックンロールの神様/お願いここまで来てよ/きっと僕たちは子どものまま》と歌う。


他に“ロックンロール・スーパーノヴァ”なんて曲もある時点で、もう何を大切にしているバンドなのか丸わかり。汐田泰輝(Vo・G)が万能感込みで描く少年性と湿っぽくないノスタルジーは彼らの大きな特徴の一つだ。中学の同級生で結成という出自も、ライブ現場やオーディションで名を上げてきたヒストリーもイメージ通り。サウンドとしては、ガレージロックと青春パンクとダンスロックを粗挽きでミックスしたら、成分無調整のロックンロールができあがったという感じで、基本的にラフ&性急で3分にも満たない曲が多いが粗野ということはなく、バラードソングに限らず随所に「お!」という秀逸なメロディが差し込まれたりと、ポップスとしての強度もちゃんと備わっている。


すでに地元・大阪のBIGCATで自主企画フェスをソールドさせたり、「イナズマロック フェス」出演を果たしたりと、僕のような懐古おじさんの耳以外にもしっかり届いている様子。今回のデビューを機に、ひと回りふた回りデッカいロックンロール・ドリームを体現する気配に満ちている。

文=風間大洋
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)


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