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    【ロッキング・オンを読む】20周年のサマソニに襲来する驚異の新世代、タッシュ・サルタナを目撃せよ!

    【ロッキング・オンを読む】20周年のサマソニに襲来する驚異の新世代、タッシュ・サルタナを目撃せよ!

    驚異の新人、と言っていいだろう。オーストラリア出身の24歳、タッシュ・サルタナ。ギターを始め20種以上もの楽器を自在に使いこなし、ルーパーを駆使してさまざまな音を重ね、たったひとりで大型フェスのステージを務める女性シンガー・ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリストである。ファースト・アルバム『フロー・ステイト』がボーナス・トラックを追加して日本でもリリース、サマーソニックにも出演が決定している。

    ひとりでいくつもの楽器を弾いて音源を制作するミュージシャンは、古くから枚挙に暇がない。ルーパーを使ってひとり多重演奏のライブをするアーティストも珍しくない。だが彼女のように全ての楽器について一流の技術を持ち、しかもただ曲芸のように音を重ねるだけでなく、情感溢れる素晴らしい歌唱力とアーティストとしての力でもって、確固たる世界観を作り上げていくアーティストはほかにほとんど思い当たらない。

    終始楽しげに、時には感極まった表情で、時に体を大きく動かしノリノリで、魔法のように音を重ねていく。緻密に計算された音像は、浮遊感のあるディープでサイケデリックでメロディアスなもので、決してテクニックにあかせたドライで無味乾燥なものではなく、最近のソウルやR&Bに通じるコンテンポラリーなグルーヴと叙情がある。

    しかし彼女の音楽世界にはどこか孤高の雰囲気がある。彼女がひとりで弾き、歌い、音を重ねていくだけで、そこには誰にも立ち入れない世界が出来上がるのだ。それはひとりで演奏しているからというだけでなく、彼女自身の内面の反映である気がしてならない。彼女がたったひとりで音楽を作り続けているのは、なんでもひとりで出来てしまうからという以上に、他人とのコミュニケーションをどっかで拒絶しているところがあるからではないか……とはほとんど僕の妄想だが、ただ彼女を「超絶技巧」「ジミヘンの再来」「天才」というだけで片付けてしまっては、その本質は見えてこない、気がするのである。(小野島大)



    この記事はキッスが表紙巻頭の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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    【ロッキング・オンを読む】20周年のサマソニに襲来する驚異の新世代、タッシュ・サルタナを目撃せよ! - 『rockin'on』2019年9月号『rockin'on』2019年9月号

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