徹底検証! ライブなき日々を奮い立たせた7本のライブ映像、そして「Eye of the Storm」ツアーが証明するONE OK ROCKとロックの真価とは?
文=高橋智樹
ほんの数ヶ月前まで手の届くところにあった「ライブ空間」が、突然世界から消えた――。新型コロナウイルス感染拡大という現実によって、規模の大小を問わず軒並みライブ公演が中止や延期を余儀なくされ、今もまだ「これから」の在り方を誰もが暗中模索している状況である。そんな中、ONE OK ROCKが4月から順次プレミア公開したライブ映像(現在は終了)は、ONE OK ROCKのファンにとってはもちろん、ロックを愛するすべての者にとって、混沌とした状況の「その先」を指し示す何よりの希望だった。
ONE OK ROCK自身、昨年秋から行ってきた「ONE OK ROCK 2019–2020 “Eye of the Storm” JAPAN TOUR」の名古屋振替&追加公演(3月31日・4月1日)およびその直後のアジアツアーの開催延期を決定するなど、世界を股にかけて活動するライブバンドとして国内外の切迫した現況に真っ向から直面している。そんな中で彼らが世界中のオーディエンスに向けて発信した「ロックの真価」「ライブの真価」の結晶のような映像は同時に、前人未踏のロックの絶景を求めて極限進化を続けてきたONE OK ROCKからの不屈の闘争宣言そのものでもあった。
今回YouTubeにてプレミア公開されたのは、すでに映像作品としてリリースされた6本のライブ映像と「LIVE & DOCUMENTARY “AMBITIONS ASIA TOUR 2018” in TAIPEI」の計7本。2013年に開催した初アリーナツアー「“人生×君=”」以降、アリーナやスタジアムといった大会場を舞台に、幾多の名演を繰り広げてきたONE OK ROCK。彼らの渾身のアクトが映像越しに提示していたのは、「普通にライブができた時代」へのノスタルジーではない。困難と対峙し、もう一度あの時間と空間を、全身で謳歌し祝福し合うために、彼らが今ここで掲げ得る最大級のメッセージに他ならない。
自らの前の壁を越えることで、どこまでも雄大なロックの地平を切り開き、日本の音楽シーンの先駆者としてひたむきに前進してきたONE OK ROCK。今回順次プレミア公開された7つのツアー、ライブについて、さらには最新ツアーである「“Eye of the Storm” JAPAN TOUR」に至るまで振り返り検証することで、「ONE OK ROCKのライブの核心」に今こそ改めてフォーカスしておきたいと思う。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年9月号より抜粋)
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