浪漫革命、ひたすら「君」へのラブソングを鳴らす

浪漫革命、ひたすら「君」へのラブソングを鳴らす
『ROCKIN'ON JAPAN』最新号(2020年9月号)New Comerより

結成わずか3ヶ月でRISING SUN ROCK FESTIVAL 2017、SUMMER SONIC 2017に出演し、その直後にアマチュア・アーティスト・オーディションRO JACKに入賞した京都発の5人組、浪漫革命。

1年4ヶ月ぶりのセカンドフルアルバム『ROMANTIC LOVE』が発売されたばかりだ。1曲目は1970年代の日本語フォークをベースに、シティポップ風味の濃い“ふれたくて”。《別れても君を好きと/今頃になって気づくよ》《もう一度だけ/君にふれたくて/ずっと愛しているよ/ぼくの歌を聞いてくれよ/この先も》と歌われる紛れもない失恋ソングだが、なぜだかそのピースフルなサウンドメイクと、藤澤信次郎の温かい歌声によって多幸感が溢れている。

 
恋の始まりと最中と未来を歌うドライブ感溢れる“ラブストーリー”も、《君と笑えることは/永遠なのさ/僕は愛を歌う》と告げるどストレートな“ラブソング”も、関東に向かう深夜バスの中で《君の声も 甘いキスも/忘れたかな 忘れたよな》と想いを馳せる、轟音ギターがうなる土臭いロックンロール“深夜バス”もラブソング。ブルージーなギターが京都のうだるような夏を想起させる“あんなつぁ”では、何度も呪文のように繰り返される《あんなつぁ》という言葉が、いなくなってしまった「君」との思い出を成仏させるように響く。
 

かと思うと、音楽性のバリエーションも色々とあっておもしろい。陽気なスキャットとホーンが入ったトロピカルなサーフロック“アバンチュール”で1930年初頭アメリカ西海岸の恋物語を描きつつ、ボッサなスウィングジャズ“Showが始まる”もムーディーだ。そして、ラスト曲の、ライブのアンコールでのおふざけなセッションか、はたまたライブ後の打ち上げか、という雰囲気の大団円ソング“JUST DO IT”でこのロマンチックなパーティーは幕を閉じる。

「君」の匂いがこびりつく、ピースなラブソングばかりが聴こえてくる。(小松香里)



掲載号の購入はこちらから

浪漫革命、ひたすら「君」へのラブソングを鳴らす - 『ROCKIN'ON JAPAN』2020年9月号『ROCKIN'ON JAPAN』2020年9月号
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする