ONE OK ROCK 2020 "Field of Wonder" at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE
混沌の時代の涙も愛もすべて響かせた、ロックの希望の一夜。スタジアム配信ライブ「Field of Wonder」完全レポート!
文=高橋智樹
「ONE OK ROCKがやったことないこと、やってきたこと――全部まとめてお前らにぶつけてやっからよ! お前らのいる特等席からしっかりと、お前らの声が届くくらいぶちまけてくれ! よろしく頼むぞ!」
観る者すべてに全力で挑みかかるかの如く魂の叫びを突き上げるTakaの姿に、抑え難く胸が震える。この日、オンラインライブの配信画面が映し出していたのは、単なる「スタジアムを舞台としたONE OK ROCKの無観客ライブ」ではない。スタジアムの巨大な空間を駆使した圧倒的なライブパフォーマンスを、カメラ越しにオーディエンスのもとへ届けることによって、日本のみならず世界中を「ONE OK ROCKのライブのステージ」へ塗り替える前人未到のトライアルであり、世界を自らの手で鼓舞し奮い立たせていこうとする不屈の情熱の果実だった。
昨年2月にリリースされた最新アルバム『Eye of the Storm』を携え、北米~ヨーロッパ~US&メキシコと駆け巡った海外ツアー(とエド・シーランのアジアツアーのサポート)を経て、昨年9月からは日本全国のアリーナ会場を舞台としてその劇的進化ぶりを自ら証明してみせたONE OK ROCK。しかし、2020年の年明け早々から世界に蔓延していた新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、3月のオーストラリア公演を最後にツアーのスケジュールはすべてストップ。3月31日・4月1日に予定されていたジャパンツアー名古屋公演の中止、4月〜6月のアジアツアーの開催延期を余儀なくされた。そんな状況の中、ONE OK ROCKは過去のライブ映像を4月から順次YouTubeにてプレミア公開。時代に抗い時代を突き動かすロックバンドとしてのアティテュードを真っ向から提示していたのも記憶に新しい。
そして10月11日――ONE OK ROCKは千葉・幕張のZOZOマリンスタジアムに立った。「ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE」……自身初のオンラインライブとなった今回のアクトは、「困難に立ち向かう」というマインドをフィクションでもファンタジーでもなく、2020年の現実のロックバンドとして、しかもONE OK ROCKだからこそ描き得る壮大なスケール感とともに体現した、エポックメイキングな感動の一夜だった。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より抜粋)