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SUNSET STAGE 13:00

浜辺の情景に浮かび上がった、記憶と感情

時刻は午後1時を迎え、SUNSET STAGEにはGOOD ON THE REELの5人が登場だ。潮風に乗る幻想的なSEの中で、千野隆尋(Vo.)、伊丸岡亮太(Gt.)、岡﨑広平(Gt.)、宇佐美友啓(Ba.)、高橋誠(Dr.)の5人が位置につき、千野は「あのう、今日は晴れたねえ」と語りかけながら、オーディエンスの体調を気遣うMCを届けてくる。「素晴らしい今日を……始めよう!!」と一気に昂るシャウトと共に放たれるのは、その宣言ズバリの“素晴らしき今日の始まり”だ。感情の蠢きそのもののようにヴィブラートする歌声、それが、オーディエンスとの確かなコミュニケーションの取っ掛かりを作り上げていく。続く“サーチライト”では、宇佐美のベースラインが唸りを上げて疾走。スリリングなアンサンブルの中、切迫感を増してゆく詩情のインパクトがまた凄まじい。

「新年度のはじまりに、こういうフェスがあるってのはいいですねえ。あ、先に言っておくけど、晴れた空と海が似合わないバンドです」と千野は笑いを誘う。しかし、記憶の欠片がひとつ、またひとつと浮かび上がる“つぼみ”にしても、息遣いの証として放たれる“シャボン玉”にしても、感情を乗せて広がるGOOD ON THE REELのサウンドスケープは、こんな海辺のステージで特別な感慨を呼び起こしてくれる。焦燥感と苛立ちが、踊るようなギターフレーズともつれ合って転がる“REM”の後には、「昨日までの日々とか、明日からの日々とかは置いておいて、今日は思い切り笑って帰ってください……世界なんてさあ、もっと簡単でいいんだよ!」という言葉と“シャワー”の逃れがたい躍動感を残し、彼らは今回のステージを締めくくるのだった。(小池宏和)

このフェスの模様を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!

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