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SEASIDE STAGE 13:00

麗しきポップの匠たちによる全身全霊のステージ

昨年末、初の武道館公演を大成功させたポップマエストロ集団・パスピエが、2年連続でこのJAPAN JAM BEACHに登場。成田ハネダ(Keyboard)を先頭に、やおたくや(Drums)、三澤勝洸(Guitar)、露崎義邦(Bass)、そして大胡田なつき(Vocal)が大歓声を全身で受け止めるようにしながら位置につく。まずは、“贅沢ないいわけ”で大胡田がキュートな節回しを潮風に乗せては優雅に舞い、弾けるようなサビではオーディエンスのクラップを誘っていた。華やかで鮮明、しかもめちゃめちゃパワフルという音像も、さすがはパスピエという立ち上がりだ。成田の美しく雄弁な旋律に導かれてグイグイとドライヴする“とおりゃんせ”、テクニカルなフレーズがガンガン交錯し、切迫感とコミカルさをまとめて運ぶ“裏の裏”と、快調に飛ばしてゆく。

「こういうフェスの景色ってのも久しぶりに見ますけど、こうして昼間っから大勢で騒ぐっていうのも楽しいですね!」と大胡田がビーチの空気を味わうように告げるのも束の間、4/27にリリースされたばかりのニューシングル曲“ヨアケマエ”を投下。鋭いコンビネーションの応酬と決意を帯びた歌の中からも、和の情緒が滲んで心地好い余韻を残してゆく。アタック感が強いシンセリフが立ち上がる“MATATABISTEP”、「まだ踊れますかーっっ!!」と追い込みをかける“チャイナタウン”という連打がまた強烈だ。跳ね回って歌う大胡田は「JAPAN JAMー!!」と手を緩めることなく煽り立て、唖然とするほど鮮やかな三澤の背面ギターソロへと繋いで見せる。あっという間に辿り着いてしまった最終ナンバーは“トキノワ”。ビーチをポップの楽園に変える力は、神秘的な魔法ではなく、全身全霊の表現姿勢だった。(小池宏和)

このフェスの模様を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!

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