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SKY STAGE 15:15

ロックンロールを引き連れて続く、終わりのない旅

5/7から、結成20周年へ向けてのコンセプトライヴ第3弾「NOW AND THEN Vol.3」(今回は『アンテナ』再現編)が全国8箇所9公演のスケジュールで開催予定。というわけで、「ありがとうね、観に来てくれて。くるりでございます」と挨拶する岸田 繁(Vocal, Guitar)のミュートカッティングが瑞々しいピアノのフレーズを導くと、まず披露されるのは『アンテナ』の冒頭を飾る“グッドモーニング”だ。「今日出る人の中で俺、最年長らしいですよ」と軽くオーディエンスをどよめかせながらも飄々と“Morning Paper”に繋ぎ、何よりも楽曲の掌握力にもの言わせる。今回のメンバーは、岸田と佐藤 征史(Bass, Vocal)、サポートに松本 大樹(Guitar, Chorus)、野崎 泰弘(Keyboard)、Cliff Almond(Drums)、加藤 哉子(Chorus)、アチコ(Chorus)という「NOW AND THEN vol.2」からの続投メンバーなのだが、クリフの馬鹿テクドラムにハーモニーが後押しされるさまが凄まじい。

豊穣なグルーヴに岸田のエレクトリックバンジョーも持ち込まれる“Race”の後、メンバー紹介(クリフは「佐藤くんの兄弟です」と紹介されていた)を経て立ち上がる鮮烈なギターリフは“ロックンロール”。フィールド一面に掌が揺れる。岸田×松本のブルージーなギタープレイがデッドヒートを繰り広げてエモーションを運ぶ“Hometown”で『アンテナ』の前半5曲を描き切った。くるりが時代によって表情を変え続けてきたバンドであることを伝え、「楽しんで、恋とかして帰ってください!」と放たれるのは“ふたつの世界”だ。そして、「40歳になったから出来たような曲です」と最後に届けられたのは、アーバン&ファンキーな新曲“琥珀色の街、上海蟹の朝”。蟹のハサミ(チョキの形)でハンドウェーブを誘う、ユーモラスでありながらもめちゃめちゃカッコいい曲である。並んで挨拶するメンバーに向けられた盛大な拍手喝采も当然、と思えるステージだった。(小池宏和)

このフェスの模様を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!

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