BiSH初のアコースティックライブに潜入――
裸の歌声で刻んだ名曲たち、そのすべてを徹底レポート
文=小川智宏 撮影=sotobayashi kenta
「MTVアンプラグド」といえば、30年以上前から続く(アメリカでの初放送は1989年)、音楽専門チャンネルMTVの看板プログラムである。名だたるアーティストやロックバンドが、普段とは異なるアコースティック編成でここだけのライブパフォーマンスを行うというそのコンセプトは、本国アメリカでも、そしてここ日本でも、数々の貴重な名演を生み出してきた。
その「MTVアンプラグド」のステージに、BiSHが立った。コロナ禍で無観客での収録となったが、特別に現場でそのパフォーマンスを目撃することができた。こうしたアコースティック編成だけでのライブは初めて、当然ながらいつもとはまったく違う彼女たちの姿がそこにはあった。それと同時に、BiSHというグループが音楽に向ける真摯さ、純粋さ、そして尊敬と愛情が、演奏や歌からまっすぐに伝わってくる、とてもBiSHらしいライブでもあった。音楽を愛し、音楽によって救われ続け、音楽で闘いを挑み続ける6人が、ある意味最もタフで最も「試される」と言ってもいいこのステージで見せたものとは何だったのか。セントチヒロ・チッチはMCで「ドッキドキしてます」と言っていたが、それは観ているこちらも同じだった。いろんな意味のドキドキが詰まったライブだったのだ。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年7月号より抜粋)