FLOWER FLOWER | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013

おかえり。SOUND OF FORESTに集った我々は、改めてその言葉を口にするべきだろう。名前の表記も奏でる音楽も変わるものは変わるけれど、我々はあなたがこの森のステージに立ち続けて来た日々を知っている。今年5月の『JAPAN JAM 2013』で本格的に公の場での活動をスタートさせたFLOWER FLOWERが登場だ。先ほどのZAZEN BOYSが“CHE.R.RY”を一部歌ったのだが、姿を見せるなりピーヒョロと笛を吹いて「haーー♪、FLOWER FLOWERです。よろしくお願いします」と挨拶する金髪のyui（Vo/G）は、ZAZEN BOYSへの返答のように一節の歌を挟み込んでオーディエンスを湧かせ、本編へと向かっていった。ジャジーと呼ぶには余りにも鋭く尖り、爆発的に迫る圧巻のアンサンブル。その中をyuiの叫ぶような歌声が這い、或いは舞い上がる。mafumafu(B)、sacchan（Dr）、mura☆jun(Key)らも、見事な表現力を発揮し、触れる者すべてを挑発して止まない、先鋭的でスリリングなアンサンブルを届けてくるのだ。本当に、FLOWER FLOWERは凄いバンドである。

「はい、mura☆jun」というyuiの指名でMCタイムだ。「大丈夫ですか、静かすぎませんか。楽しんでますか」とか涼しい顔をして声をかけているけれど、こんな凄まじいパフォーマンスに触れて息を呑まないほうがどうかしている。爆音が押し寄せるナンバーばかりではなく、煌びやかなシンセ・フレーズが飛び交う陽性ポップ・チューンではyuiがハンド・マイクでステージ上を歩き回りながら歌い、この７月に配信リリースされたデビュー曲“月”は、余りにも伸びやかなyuiの歌声と共にしなやかなダンス・グルーヴを構築していった。ノイズが吹き荒れ音が割れるほど、固唾をのんで見守り、聴き入ってしまうような力がFLOWER FLOWERの楽曲にはあるが、それはどの曲にも不思議な潔癖さというか、美しさが込められているからだろう。

yuiは「ありがとうございます。あの……秋に、自主制作企画？　自主企画のライヴをやるので、まだまだ初めての方も多いと思うので、ぜひ遊びに来てください。今日はまだ夜は長いので、夏の思い出を作りましょう！」と告げ、この日の演奏曲の中でもとりわけ繊細で静謐なラヴ・ソングを歌いながら、「幸せだなあー、ありがとう！」と語っていた。その言葉をそっくりそのまま、あなたに返そう。最後のメンバー紹介でわざとmura☆junを紹介し損ねるという笑いも添え、何とも刺激的で幸福なステージを締め括ってくれた。（小池宏和）