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少し日差しものぞくようになった真っ昼間のひたちなか。PARK STAGEに吹き抜ける風が実に心地いい。そして、SEもなくフラっとステージに登場した中田裕二は、PARK STAGEを真っ昼間とは思えない濃密な歌謡曲の世界へと誘っていったのだった。

1曲目は、大きなハンドクラップに迎えられた“リバースのカード”。中田のアコースティック・ギターに、パーカッション、キーボードという3人編成で、ムンムンの色気を伝えるサウンドを響かせていく。ねっとりとした中田の歌声に絡み取られるようにして、PARK STAGEはどんどんオーディエンスの数が膨らんでいく。「理屈じゃないよね、ジャパン!」と歌ってフィールドを沸かせると、続く“FUTEKI”でもアダルトな魅力をにじませるアンサンブルを繰り広げ、PARK STAGEを魅了する。

「えー、というわけでみなさん、こんにちは。歌謡曲最後の請負人、中田裕二です。今日はなかなかの良い天気……ではないのですが、暑いのが苦手な僕にとってはありがたいです」と淡々と語りながら空を見上げ、「今日はまったく、こんな昼間に似合わない曲全開でいくぜ! アコースティックだからってなめんなよって感じでいくぜ!」と叫ぶ中田。このなんともアンニュイな感じがなんとも中田裕二だ。椿屋四重奏の頃もこんな感じだったな……なんて思っていると、「久しぶりに、バンド時代の曲を歌おうかな」と演奏しはじめたのは、椿屋四重奏の“シンデレラ”。これにPARK STAGEが燃えないわけがない。PARK STAGEの後方のオーディエンスまで飛び上がって喜んでいる。

「踊ってくださいよ」と始めたのは、7月にリリースになったばかりの配信限定シングル曲“MIDNIGHT FLYER”。軽快に跳ねるキーボードとリズム、そして中田の艶っぽいヴォーカルが重なって、どんどん紫色のグルーヴを帯びていく。アダルトさ全開の中田裕二のステージは眩しいほど艶やかだ。

「まだまだ行くよ!」と、ラテンのビートにのった情熱的ナンバー“DANCE IN FLAMES”を繰り出し、フィールドに熱狂を広げると、ラストに演奏されたのは、高山厳の“心凍らせて”のカヴァー。数多のROCK IN JAPAN FESTIVALの出演者の中でも、中田裕二でしかあり得ない興奮にPARK STAGE包まれたひと時だった。(大山貴弘)




この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【中田裕二】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート