あっはっは、音がでけえ。でかく感じるというべきか。サウンドチェックの段階で、ふんぞり返るようにファンキーな16ビート・アレンジの“Honnoji”も披露し、周囲の意識をぐぐっと引き寄せては研ぎ澄まさせるZAZEN BOYS。「ROCK IN JAPAN FESTIVALにようこそおいでくださいました。マキシマム・アンド・ザ・ホルモンでございます」と挨拶代わりに大嘘をかます向井秀徳である。彼の華々しいシンセ・フレーズからスタートするのはヴァン・ヘイレン“ジャンプ”のイントロだ。さわりだけでもやたら完成度が高くて驚きながら笑う感じのカヴァーなのだが、ちょっと前の単独ライヴでもやっていました。マイブームみたいです。「ベース、吉田一郎。ギター、カシオメーンヌ。ドラムス、柔道二段・松下敦。そしてわたくし向井秀徳。MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYS」と改めて名乗りを上げ、“Kimochi”から本編がスタート。カシオマンこと吉兼聡のギターだけではないのだが、本当に音に触れるだけで皮膚が切り裂かれるんじゃないかという凄まじいサウンドで“電球”へと繋げてゆく。もともと過剰なまでのストイシズムで演奏技術とメンバー間の呼吸を鍛え上げてきたバンドだけれど、なんかまた音のひとつひとつが凄まじいことになっていないか。格闘技で言うと階級そのものが上がっている感じと言うか。
“はあとぶれいく”から《繰り返される諸行は無常ー》のフレーズで切り出される“サイボーグのオバケ”へ。《陸軍中野学校予備校理事長 村田英雄》の歌詞が《渋谷陽一》に歌い替えられたり、「パンツパンツ、ブラジャー♪ 長澤まさみのブラジャー♪」といった向井の言葉遊びがカシオマンのギター・フレーズで再現されたりと、凄絶な演奏の中にも笑いを交え、得体の知れない興奮にタッチさせられる。“泥沼”にしても、何度もライヴに触れているはずなのに、どうして初めて出会うような驚きを味わうのだろう。“COLD BEAT”では予測不可能なダッシュ&ストップの先に、チャルメラの旋律で「とりあーえず、抱きしめてよー♪」と人々にも歌うことを求め、果てはYUI“CHE.R.RY”のサビ部分まで歌う4人。意味がわからないでしょう。そうでしょう。向井自身もさすがに「なんだこれは」と言っていました。でもこれが凄いのである。ぜひ一度は体験してみて欲しい。最後には喉も裂けよとばかりに歌われる“破裂音の朝”でパフォーマンスを締め括る。そして贈られる大喝采が、ZAZEN BOYSに対する正当なリアクションであるはずだ。(小池宏和)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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