フジファブリック | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013

太陽が少しずつ茜色になりはじめた時間帯。LAKE STAGEに登場したフジファブリックは、いきなり“夜明けのBEAT”を演奏。オーディエンスのテンションの上がり方も凄まじく、リズムに合わせて一体となってコールが巻き起こる。ステージ外からもぐんぐん人が集まって来て、早くもフジファブリック、最高潮の盛り上がりである。

「どうもフジファブリックで～す。よろしく～！」という山内総一郎（ヴォーカル＆ギター）のゆるい挨拶に続いては、“自分勝手エモーション”。サポートドラムをBOBOが務め、多くの情報量を持ったフジファブリックならではのビート感が響いてくる。オーディエンスも一斉に手を振って彼らの音楽に応え、会場は爽快な一体感に包まれていく。

「フジファブリックらしさ」を更新し続ける3人の今を最も感じさせたのは、今年3月にリリースしたアルバム『VOYAGER』収録のナンバー“Fire”だ。打ち込みのビートに生ドラムを重ね、燃え広がるように勢いを増していくサイケがかった高揚感がなんとも痛快。山内はハンドマイクで熱唱し、金澤ダイスケ（キーボード）は全身を動かしながら激しい演奏を見せている。

怒涛の展開でオーディエンスを驚かせつつ、「陽が出てきた～」と相変わらずやわらかい口調で語る山内。「いつも（ROCK IN JAPAN FESTIVALに）出させてもらってありがたいんですけど、今日が今までで一番、涼しい気がします。でも、こんなにたくさん人が集まってくれて、陽も出てきたので、さらにヒートアップしていきます」と語って続けたのは、“徒然モノクローム”だ。LAKE STAGEでは再び、オーディエンスの手が大きく揺れる。

イントロのギターのフレーズに、「うおぉぉぉ～！！」と怒号のような歓声が上がったのは、“Surfer King”。LAKE STAGEが大きなハンドクラップに包まれ、アウトロコーラスではフロアが完全にお祭り騒ぎに。こういう、一瞬で人々を妙なテンションに塗り替えてしまう不思議な魔法を持った楽曲を、フジファブリックはたくさん積み重ねてきた。こちらもイントロで「うわ～！」と悲鳴じみた歓声に迎えられたのは、最後に演奏した“銀河”だった。彼らが作り出してきたいくつもの名曲たちと、そして3人による新しいフジファブリックの今が、LAKE STAGEいっぱいに集まったオーディエンスに鮮烈な感動を残してくれた。

ライヴ後は、本日、誕生日を迎えた加藤慎一（ベース）のためにハッピーバースデーの歌を歌ってフィナーレ。最後まで熱く、あたたかいムードに満ちたステージだった。（大山貴弘）