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続いてWING TENTに登場するのは、今年4月にメジャーデビューしたばかりの現役女子高生シンガー、新山詩織。あたたかな拍手に迎えられ、ひとりステージに現れた彼女。ペコリとお辞儀をしてアコースティック・ギターを抱えると、“だからさ ~acoustic version~”からライヴをスタートさせる。中学3年生のときに初めて書いた処女作である、この曲。歌を歌うことで孤独を乗り越えていこうとする当時の彼女のリアルな心情が、ギター1本の弾き語りスタイルで切々と綴られていく。曲の終盤でベース/ドラム/キーボード/ギターのサポート・メンバーが一人一人加わり、5人体制になったところで、7月10日リリースの最新シングル“Don't Cry”へ。たっぷり息を吸い込んで放たれるスモーキーな歌声が、曇天により柔らかな日差しが降り注ぐひたちなかの空気と溶け合って、軽やかに伸びていった。

「はじめまして、新山詩織です。17歳です。今日はずっと憧れだったこのステージに立つことができて、嬉しくて仕方ないです。こんなに沢山の方が観に来てくださって、最初は緊張していたんですけど、だいぶ気持ちが上に向かってきました」と挨拶すると、敬愛する2バンドのカヴァー曲、THEATRE BROOKの“ありったけの愛”をソウルフルに、THE GROOVERSの“現在地”をアグレッシヴに歌い上げる。前出のMCでは時折声を詰まらせるなど、17歳女子らしい初々しい一面をのぞかせていた彼女。しかしひとたび演奏がはじまると、打って変わって声を張り上げ、ギターを掻き鳴らすそのギャップがおもしろい。しかもライヴが進むごとに歌声はパワフルに、動きは伸び伸びと大きくなっている印象。それは、音楽という「鍵」によって世界とつながる「扉」を徐々にこじ開けていった彼女自身の歩みと被るような、感動的なパフォーマンスだった。

最後はデビュー・シングル“ゆれるユレル”を情感豊かに歌い上げて大団円。「またお会いできたら嬉しいです」と告げて深々と頭を下げてステージを去った彼女の姿は、その謙虚な振る舞いとは裏腹に、とても大きく頼もしく見えた。(齋藤美穂)




この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【新山詩織】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート