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ここLAKE STAGEの3日間のグランド・フィナーレを飾るのはTK from 凛として時雨。BOBO(Dr)、日向秀和(B)、大古晴菜(Pf)、佐藤帆乃佳(Violin)がセッティングを終えたところに、気迫十分の様子でTKが登場。そして、極彩色の高速ピアノ・フレーズと鮮烈なキメから突入した“phase to phrase”が、夕闇迫るLAKE STAGEをめくるめくロックの異世界へと導いていく。TKの囁くような歌声が静寂をまさぐり、悲鳴のようなファルセットが聴く者すべての焦燥感を刺し貫いていく。超絶ギター・フレーズが、時にピアノ&ヴァイオリンと艶かしく響き合い、時にBOBO&ひなっちの圧倒的な剛性と強度を誇る硬質ビートとスリリングなデッドヒートを繰り広げる……ロックすら踏み越えた先に広がる、エクストリームな美の風景。戦慄必至の音がしかし、細胞レベルで身体を熱くたぎらせ、生の手応えを呼び起こしてくる。

昨年リリースしたアルバム『flowering』からの楽曲を軸に据えたこの日のアクトだったが、「TKです、はじめまして。新曲をやります!」というTKの短い挨拶に続けて鳴らされた“Fantastic Magic”の、4つ打ちビートのマッシヴな威力&壮大なスケールで渦巻く切迫感と妖艶さは、TKの「今」の進化をまざまざと物語るものだった。1曲、また1曲と、深遠なる世界の底へと踏み込んでいくような、それでいて心の中に封印していたものをひとつひとつ解き放っていくような、禁断の悦楽に満ちた音楽体験。クライマックスへと近づくにつれて、TKの速弾きフレーズはさらに切れ味と訴求力を増し、人間の業も儚さも注ぎ込んだ精緻でカオティックなアンサンブルが、すっかり陽が落ちて暗闇に包まれたLAKE STAGEをよりいっそうダイナミックに震わせていく。そして、“film A moment”の透徹した混沌へ――《手に入れた世界は film A moment》と歌うTKのウィスパー・ヴォイスとヴァイオリンが極北の静寂を描き出し、5人の熾烈なサウンドスケープが狂気そのもののように赤黒く噴き上がる。やがて――再び訪れた静寂の中、《僕は時間になってみたいな 誰か僕を戻すんでしょうか 欲しくなるかな》の言葉とともに、圧巻のステージが終了。静かに舞台を去る5人に、惜しみない拍手が降り注いだ。

アンコールを求める声に応えて、TKがひとりでテレキャス弾き語りの1曲を披露した後、再びメンバー全員が登場。「同じ時間に、いろんな場所で音楽が鳴っている時に、最後ここに来てくれてありがとうございます!」というTKの言葉とともに、3日間のLAKE STAGEの正真正銘ラスト・ナンバーとして響き渡ったのは、凛として時雨の“シャンディ”! TKの絶唱が、スクリームが、怒濤のアンサンブルと一丸となって驀進し……全身を震撼させるテレキャスの響きが暗闇にきらめいて、すべてが終了。祝祭空間のラストを飾る、あまりに美しすぎる終幕だった。ありがとうTK。(高橋智樹)





この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【凛として時雨】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート