Predawn | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013 | クイックレポート

夕暮れ時のWING TENTに響くPredawnはかなり格別だった。ドラムに神谷洵平、ウッドベースに鈴木学を迎えた、トリオ編成で初めてのROCK IN JAPANのステージに挑んだPredawn。「こんにちは、Predawnです」という清水美和子の短いMCから1曲目に“Over the Rainbow”を演奏すると、WING TENTが一気にPredawnの世界に引き込まれる。淡い色味を帯びた彼女の歌声と、優しいアンサンブルが集まったオーディエンスをときめかせていく。WING TENTにどんどん人が集まってきて、気がつけば後方までいっぱいになっている。清水のギターからスタートした“Keep Silence”が終わると、オーディエンスからは温かい拍手が巻き起こる。本当に1曲が終わるたび、温かい拍手と歓声に迎えられたPredawnだった。

「あの、えっと、ROCK IN JAPAN、終盤にさしかかりました」とたどたどしく清水のMCが始まる。「3日間来てる人ってどれくらい、いるんですか？（フロアでたくさんの手が上がる）……おお、お疲れ様です。ちなみに、私は、さっき、スーパーひたちで来ました」。マイペースというか独特のトークから、彼女のキャラクターが伝わるようだ。だが、曲がはじまると彼女のたどたどしさはどこかへ消え、凛々しい表情でオーディエンスを柔らかい歌声で包んでいく。温かい手拍子に迎えられた“Suddenly”で見せたPredawnの音世界には、胸の中を塗り替えられるような思いだった。

「あの、多分、知らないと思うんですけど、ROCK IN JAPANはおうちに帰るまで、じゃなくて、おうちに帰ってからがROCK IN JAPANだと思うので、明日からも楽しんでください」と彼女。そんな言葉からも、彼女がどれだけ音楽を愛しているかが分かる。そんな思いはPredawnの音楽となって、夕暮れ時のWING TENTに深い余韻を残していく。ラストに“Sheep & Tear”を静かに演奏すると、清水は「ありがとうございました。ひたちなか！」と小さく叫んで、逃げるようにステージを去っていった。Predawnの鮮やかな音世界も、清水のたどたどしい言葉も、きっとWING TENTのオーディエンスに強く愛されたにちがいない。（大山貴弘）