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衝撃とインパクトに満ちたキノコホテルのアクトから一転、シンプルなバンド・サウンドと瑞々しいフィメール・ヴォイスが夕刻を迎えたPARK STAGEに優しく共鳴する。そう、バンドメンバーと共に登場した7組目のアクト=安藤裕子は、雄大なバラード“海原の月”からライヴをスタートさせた。裸足でステージをしっかりと踏みしめ、ゆったりと身体を揺らしながら想いを託すように熱唱し、MCでは「今日は暑くなくてよかったね。夕方だからゆったりした感じでやっていこうかなと思ってます」とフランクに語りかける。デビュー10周年について話がおよぶとフィールドから温かい拍手が贈られ、「ありがとう! 赤ちゃんもそこで喜んでくれてる」と相好を崩す安藤裕子。それは、とても穏やかでチャーミングな笑顔だ。

「私の大好きな育てのおばあちゃんみたいな人がいて、その人が書いた詩をもとに作ったんですけど。亡くなったご主人をずっと愛し続けたそのおばあちゃんみたいに、長く人を愛せるようにと思って作った曲です」と、中盤、ピアノ伴奏だけで届けられた“のうぜんかつら(リプライズ)”はとりわけ感動的だった。そして、「私にとってはとても大切な曲で。生きてる間に仲良く過ごせる人もいるし、どうしてもうまく向き合えないまま終わることもあります。でも、やっぱり会えなくなってから会いたくなる人もいるから、生きてるうちにいっぱい会ってほしいなと思います」と語って、最後に放たれたのは安藤裕子きっての名バラード“歩く”。悠然としたバンド・アンサンブルをバックに、限りある生と、その先にある死をも慈しむように歌う彼女の姿は、全てを受け入れる覚悟と清々しさに満ちていた。「少しはゆったりできたかな? 残り楽しんで帰ってください!」と再びチャーミングな笑顔を残して、彼女はステージを後にした。(奥村明裕)





この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【安藤裕子】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート