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少し陽が傾きはじめたSOUND OF FORESTに登場したのは4年連続の出演となるplenty。彼らが森のステージに立つのは今年で2度目だ。SEの清らかな響きと共に、江沼郁弥(Vo/G)、新田紀彰(B)、そしてサポートメンバー中畑大樹(Dr)、ヒラマミキオ(G)が静かにステージに現れる。江沼の透明感のあるハイトーンが森の静寂を切り裂くと、少しずつ少しずつ演奏が熱を帯びて、森の空気をじわじわと震わせていく。演奏も強靭でキレがいい。7月までの全国ツアーを、ヒラマを迎えた4人編成でまわってきた成果だろうか、より肉体的に強化されたバンドアンサンブルが江沼の描く詞の世界の共振力を増幅させていく。4人がキュッと向き合い、音を鳴らし合う喜びをかみしめるような場面も印象的だった。

一気に冒頭の3曲を終えると、江沼が「こんにちは」とぼつり。次の言葉を待ったが、「そんなに暑くないよね……やろ」と、あっけなくMC(と呼んでいいものか)を終えて曲へ移っていく。続いて演奏された“プレイヤー”では、前半は淡々としたテンションでありながら、次第にサビに向かって高揚していく曲の様相が圧巻だった。そこで歌われる《僕はいつも未来を憶ってた/あの空を烈しく燃やすような涙を流しても》というやり場のない想い。いつもはその想いは行き場をなくして困ってしまうのだけど、今日に限っては森の上空にのぞかせるあの青空が受け止めてくれるような気がした。ふと、このSOUND OF FORESTに似合う曲なんだと思った。

plentyの放つロックは決してみんなでおそろいの動きを共有できたり、コール&レスポンスで発散するものではない。ただひたすら内にある孤独(をはじめとする言葉にできない感情)と向き合わざるを得なくなる、そんなロックだ。マグマのように湧き立つ衝動をたぎらせながら、表面は平熱以下の冷たさをまとっている。あっと言う間の全8曲。「ありがとうございました。またどこかで会いましょう」という言葉を残してステージを去っていったメンバー。この余韻は、まだまだ続きそう。(秦理絵)




この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【plenty】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート