ピエール中野(凛として時雨)がアゲにアゲ倒したDJ BOOTHの空気が、唱歌“さくらさくら”メタルVer.のフレーズによって、たちまち不穏な色に塗り込められていく。そしてスカルスーツを着たバックバンド(?)に続いて登場したのは、赤と黒の戦闘服、もといミニドレスに身を包んだ3人の少女――そう、「アイドルとメタルの融合」を合言葉に果ては世界征服までもくろむ10代のダンスユニット=BABYMETALだ。
ライヴは最新シングル“メギツネ”からスタート。暴力的なまでにゴリゴリと唸りを上げるメタルサウンドに乗せて、SU-METAL/YUIMETAL/MOAMETALの3人が華麗に舞う。“さくらさくら”を下敷きにしたもの悲しいメロディが響きわたれば、彼女たちの決めポーズであるフォックス・サインをメンバー&オーディエンス一丸で決め! そのまま“いいね!”に突入すれば、スピーディーなギター・フレーズに乗せてヘッドバンギングが発生し――と、一瞬でも目を離したら置いてかれそうなスピード感で、ライヴは進んでいく。メンバーが一旦ステージ袖にはけ、バックバンド(と言っても、彼らは当て振りで実際に演奏しているわけではないのだが)によるジャム・セッションを挟んだ後は、再びメンバーが現れて“Catch me if you can”へ。これまた《もういいかーい!? まあだだよ!》というフレーズが不気味な哀愁を醸し出している最高な曲なのだが、何より驚かされるのは、MCや休憩を一切挟まずに冒頭から一貫した世界観を貫いているステージングの完璧さだ。荒んだ大地に咲く花のような存在感をもった3人のキュートな歌声、キレのあるダンス、そして、当て振りながら派手なアクションで躍動するスカル姿のバックバンド――そのすべてが、BABYMETALという名のショウを構築するためのキーとして、ガッチリ機能しているように思える。
“ド・キ・ド・キ☆モーニング”でキュートに弾けた後は、荘厳な教会音楽からスタートする“ヘドバンギャー!!”で再び激しく爆発。曲の終盤ではキャノン砲を持ち出して、フロアに向けて真っ白なスモークを発射する。そして「なぜ人は傷つけあうの? 誰の為に傷つけ合うの? もうこれ以上君の泣き顔は観たくないよ。だから、私たちは立ち上がる」というナレーションから、SU-METALのパワフルな歌声が届けられる“イジメ、ダメ、ゼッタイ”で怒涛のラストへ! 冬には幕張メッセイベントホールでのワンマンライヴも決定している彼女たちだが、そこで作り上げられる巨大絵巻が今から楽しみで仕方ない――そう思いたくなるような、コンセプチュアルでストイックなアクトだった。(齋藤美穂)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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