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定刻が近づくにつれ続々とステージ前に観衆が詰めかけるなか、イザベル=ケメ鴨川、ファビエンヌ猪苗代、ジュリエッタ霧島、そしてサポートのキーボーディストがおなじみの鮮やかな衣装を纏ってオンステージ。「ジャーーン!」と勢い良く音を掻き鳴らし、ぐんぐんヴォルテージが高まっていくなか姿を表した歌と電気オルガン担当・マリアンヌ東雲嬢だが……その頭には包帯、吊り下げた左腕も包帯でぐるぐる巻きと、見るも痛々しい姿なのだ。実はマリアンヌ嬢、ケガで頭部を負傷+左鎖骨骨折という重傷で、まさに満身創痍の状態なのだが、冒頭で包帯を解き放って“エレキでスイム”のキーボードをアヴァンギャルドにプレイ。続く“真っ赤なゼリー”ではヴィヴィッドで艶やかな歌声を響かせ、香り立つような妖気を拡散する。“Fの巡回”でのセクシャルに腰を揺らすパフォーマンスに野郎どもが悶絶する一方、プログレッシヴなバンド・サウンドは高い一体感と整合性を誇っていて、キワモノ的な視線を堂々たるプレイアビリティで一掃してみせる。中でもリズム隊の躍動感溢れるプレイは格別だ。

マリアンヌが猫のぬいぐるみ(キノコホテルのマスコットキャラクター=マリアンニャ様)を抱えて披露された終盤の“キノコノトリコ”では、キャッチーなサビメロでフィールドにいくつもの腕が突き上がり、ラストナンバー“キノコホテル唱歌”では、曲間で「従業員のご紹介……」とマリアンヌがメンバー紹介。「この間、頭を強打いたしまして、従業員の名前も忘れてしまった」と言いつつ高らかに名前を叫んで、メンバーそれぞれに饒舌なソロプレイを披露する。その間もマリアンヌ嬢は拡声器を取り出してステージを歩き回り、容赦なく観る者を扇情。「お待たせいたしました、当ホテルの支配人をご紹介したいと思います。あなたの心の支配人……マリアンヌ東雲!」とギター・イザベル=ケメ鴨川に紹介されると、マリアンヌはムチをぐるぐる振り回し、さらに客席に向けて濛々とスモークを放射! 遂にはキーボードに乗り上げて狂ったように鍵盤を叩き、もうやりたい放題にやり散らかして「ご清聴ありがとうございました!」と颯爽とステージを後にしたマリアンヌ。あまりのインパクトにしばし呆然としてしまうほど、それは凄絶なフィナーレだった。(奥村明裕)





この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【キノコホテル】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート