昼下がりの太陽を浴びてキラキラ光る海上をゆっくりと行き交う船の数々が遠くに見える。すぐ傍らの海を眺めていると、思わずロックフェスに来ていることを忘れてしまいそうなSEASIDE STAGEだが、WHITE ASHのメンバーたち、のび太（Vocal＆Guitar）、山さん（Guitar）、彩（Bass）、剛（Drums）が登場すると、そこは太陽光線によるライティングを浴びた贅沢極まりないライヴハウスと化した。スタートした1曲目“Orpheus”。のび太が歌い始めると同時に、観客の間から起こった手拍子。メンバーのコーラスが合流すると、心地好いハーモニーが形成される。そして、バンドが一丸となって奏で始めたサウンドが猛烈にカッコいい。熱い音像に巻き込まれる快感を存分に味わったオープニングだった。

“Hopes Bright”で観客をますます痺れさせたところで迎えた短いインターバル。「初めまして。WHITE ASHといいます。最後まで楽しんで行きましょう！」、挨拶の言葉を経て、とびっきりワクワク出来るナンバーがさらに連発されていった。新曲も披露されて皆大喜び。エモーショナル＆グルーヴィーに躍動するバンドサウンド、甘酸っぱい響きを帯びつつも抜群にパンチが効いている歌声……刺激的な魅力が満載のWHITE ASHを大音量で浴びるのは、やはりとんでもなく気持ちいい。人々が掲げた腕を揺らしながら盛り上がるフィールドの風景がとても美しかった。




「僕たち、JAPAN JAM初出場です。なんか、あのう……僕がすごい晴れ男なんです。見えないでしょ？　さっき、裏で太陽が似合わないって言われた（笑）」と告白して笑いを誘うなど、MCも冴えていたのび太。「フェスで毎回気になってることがあって、今日やってみたいと思います。ライヴの時、場所の名前を言うとみんな『ワアア～！』って盛り上がるじゃない？　でも、実際はみんなが幕張なんじゃなくて、幕張に来た人たちだよね？　地面が『ゴオオッ～!』って震えるんなら分かるけど（笑）。だから今日は……幕張に集まったみんな～！」、事実に即した正確な表現による煽りの言葉を合図に雪崩れ込んだ後半戦も、ワクワクする場面の連続。ラストの“Stranger”の演奏が終わり、「またね～！」と手を振りながら去っていった4人を、観客の大きな拍手が包んでいた。（田中大）

この３日間を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号（5/30発売）」にてレポートします。お楽しみに！