会場内はほんのりと日焼け顔をしたオーディエンスが増えてきた午後3時。続いての登場はandropだ。失礼ながら普段は「ビーチ」や「海」といったワードはあまり似合わないバンドだが、このロケーションと爽やかな風は、そんなandropをも開放的な雰囲気にさせてしまうのだろう。セットリストもステージングも、いつになくリラックスしたしなやかさが前面に出た、JAPAN JAM BEACH 2015にぴったりのライヴとなった。

1曲目に選んだのは、晴れやかなラテンビートが今日の天気にもぴったりの“Run”。コール＆レスポンスのようにオーディエンスとかけ合う歌ではじまり、ハンドクラップをしたりジャンプをしたり会場一体となって加速していく曲から、ライヴ定番のダンスチューン“MirrorDance”へと繋いでいく。オーディエンスは、ステップも、打ち鳴らす手もノンストップ。「まだまだ音楽を楽しもうぜ」と内澤崇仁（vocal & guitar）が言うと、さらにアップビートな“Pray”で踊らせる。スカビートから高速2ビートへと気持ちよくスイッチするリズムにのって、一斉にジャンプすると、勢いよく砂が舞い上がって熱気と混じり合っていった。

切ない美メロで聴かせる、涙発～笑顔行きのandrop節が冴える“Rainbows”を挟み、会場を心地好く揺らすと、続いてはキャッチーなポップチューン“Under The Sun”。「ここに立つ人みんな言うと思うけど、ここから見える景色、最高です。こんなに太陽がさんさんと輝いてあったかいところで音楽を鳴らせることを嬉しく思ってます。普段は照明ビカビカで、太陽が似合わないバンドと言われてるんだけど、そんなの関係ねえ……あ、これちがう（あのギャグじゃない）から（笑）」と照れたように笑う内澤に、客席から「どんまい！」と声がかかる。このほどよいユルさも、こういった会場ならではだろう。




しかし後半は、ライヴでビルトアップされたタフなアンサンブルでたたみかける。伊藤彬彦（drums）による肉体的かつテクニカルな高速ビートと、獰猛なグルーヴを生みだす前田恭介（bass）のベースという、強靭なリズム隊がサウンドの世界観を大きく切り開く“One”。佐藤拓也（guitar & keyboard）がオーディエンスを煽るように、ギターを弾きながらシンガロングを促す。大きな「ラララ」のコーラスがステージにこだますると、次の“Yeah！Yeah！Yeah！”でも新曲ながらみんな自然に歌い、手拍子をし、その声を響かせる。そしてラストの曲は“Voice”。のっけから歌いっぱなしのオーディエンスだが、「この日、このライヴを選んだことを、みんなの声で証明しよう」という内澤の言葉に、さらに歌声が大きくなる。オーディエンスの歌声があってはじめて完成する“Voice”だが、今日の歌は一段と熱く、晴れやかなパワーを生み出していた。珍しいビーチでのライヴもしっかりと自分たちのものにしてみせたandrop。頼もしかった！（吉羽さおり）

この３日間を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号（5/30発売）」にてレポートします。お楽しみに！