太陽以上に燦々と明るいWANIMAのステージで幕を開けたSUNSET STAGE。次なるアクトは、カラフルなトリプルヴォーカルで、ラウドシーンでも異色の存在感を放つ名古屋発のヒステリックパニック。歓声のなか、まず登場したのは、やっち（Dr.）、おかっち（Ba.）、$EIGO（Gt,Vo.）、Tack朗（Gt,Vo.）の4人。両腕を掲げ手拍子をしながら「みんな、遊ぼうぜ！」とオーディエンスを盛り上げる$EIGOの掛け声と共に、フロントマン・とも（Vo.）がステージ中央へと飛び出してくる。顔を出した太陽を見て「いい天気になって、フェス日和じゃないでしょうか」（とも）と語りかけ、1曲目“憂&哀”へ。ポップなTack朗のハイトーン・ヴォーカルと、クリーンな$EIGOのヴォーカルのハーモニーに、暗黒のデスヴォイスをたたきつける、とも。この3色のヴォーカルのコントラストが面白く、そしてサウンドを一段とヴィヴィッドにする。ウルトラキャッチーなメロディとトリプルヴォーカルに、オーディエンスの興奮は一気に跳ね上がって、大きくステップを踏む。そしてともはステージ中央のお立ち台に上がり、デスヴォイスのスクリームとまくしたてるようなラップで、バンドと会場の温度をさらに上げていく。




タイトルはどこかかわいらしい“ねこ地獄”では、半ズボンに蝶ネクタイ姿のおかっちが、ステージを跳ね回り、招き猫のポーズで盛り上げながらプレイ。しかし、そんな愛らしいキャッチーさとは打って変わったメタリックなサウンドで、フィールドをヘッドバンギングさせる。 楽しく踊りまくるオーディエンスに向けて、「砂で足場が悪くて、ゴールデンウィーク中なのにケガしたらイヤだなと思って、こんなものを用意してきました。フェ○タス！　ヒステリックパニックの物販に置いておくので、塗って下さい」（$EIGO）と言うと、続いてはメジャーデビューシングル“うそつき。”で、「頭、振れー！」（とも）と再びSUNSET STAGEをカオス状態へと導く。極上にポップで毒々しく、かつとことんラウドで、3人の声色が映える、これぞヒステリックパニックという“うそつき。”。ロック・オペラのように、次から次へと高速ビートで展開していくサウンドに、オーディエンスは頭を振ったり、手を掲げたり、足がもつれんばかりにステップを踏んだりと身を委ねる。獰猛でアグレッシヴなビートを叩き、いかようにも踊らせていくやっちだが、その表情はつねに笑顔というのが恐るべし。

ラストは、Tack朗の伸びやかなハイトーンではじまり、パワフルな歌をぶっ飛ばすメロディックチューン“人生ゲーム”。ともは、グッと身をかがめてから体を伸ばし、渾身のパワーでスクリームすると、「上に飛ぶぞ！」とオーディエンスを一斉にジャンプさせる。最初から最後までエクストリームなサウンドとパフォーマンスでSUNSET STAGEに砂煙と歓声を残して、5人はステージを去っていった。（吉羽さおり）

この３日間を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号（5/30発売）」にてレポートします。お楽しみに！