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日が落ちてきて、昼間の暑さとは打って変わってひんやりとした風が吹くSKY STAGE。静かな、夜の景色に変わる頃に登場したのはACIDMAN。アルバム『ALMA』のオープニング曲“最後の国(introduction)”をSEに3人がステージに現れると、海風に縮こまっていた体を大きく伸ばすようにしてオーディエンスは手拍子をし、歓声をあげる。高く手を掲げ声を上げるオーディエンスに向かって、大木伸夫(Vocal & Guitar)が「盛り上がっていくぞ!」と叫ぶと、佐藤雅俊(Bass)の低音のベースがアグレッシヴに鳴り響いて、ソリッドなアンサンブルで“造花が笑う”を見舞った。ツアーを終えて間もないこともあって、のっけから凄まじいドライヴ感だ。そして勢いそのままに、さらにスピードを上げて、“アイソトープ”へと続いていく。夜を追い越していくようなパワーと、上昇するメロディで、会場をグッと明るく照らし出していく。そして、“FREE STAR”へと、眩しいほどの光を湛えたサウンドで、オーディエンスをACIDMANの音世界へとさらっていった。アウトロで大木のギターの弦が切れるというハプニングもあったが、「なんと素晴らしい場所で、JAPAN JAM BEACH、はじまったことでしょう。呼んでくださって、そしてたくさん来てくださってありがとうございます」(大木)と、勢いを止めぬまま突き進んでいく。




突破感のあるサウンドに、優しいメロディが重なる“EVERLIGHT”、力強いドラミングで疾走する浦山一悟(Drums)のビートに、佐藤が大きく腕を振り上げてオーディエンスを煽りながらベースをからませる“Stay in my hand”。フェスならではの荒々しい攻めのセットリストで、オーディエンスは拳を掲げ、声をからして掛け声をあげながら、そのスピードに振り落とされないように食らいついていく。



「楽しいことが続けば続くほど、昔から終わりのことを考えてしまう性格で。自分もみんなも、自分が嫌いな人も大好きな人たちも、必ずいつかは死んでしまう。この星も宇宙もすべて、いつかは死んでしまうんだなと。だから、夢とか希望とかはなくていいから、この1分、1秒を大切に生きていこうと思う。その最後の日には、生きていてよかった、生きることは美しいことで、奇跡だったと思いたい」と大木が語る。そして、ギターをつま弾きながら「みんなも二度と戻らない1分1秒を、最高のものにしていってください。今日はありがとう」と語り、披露したのは“世界が終わる夜”。美しく繊細なメロディと、そこで歌われる美しい生のドラマを心に刻みつけていくように、先ほどまでジャンプしていたオーディエンスが耳を澄ます。大型ヴィジョンを見ると、アップになった大木の目じりに汗か、または涙なのか、きらりと一筋流れていたのが見えた。曲の終わりに、ステージからはきれいな月が見えると空を指さした大木。海の風に吹かれながら、美しい月を見上げながら迎えたエンディングは、とてもエモーショナルな瞬間だった。(吉羽さおり)




この3日間を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!

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ACIDMAN
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