【知りたい】bokula.はこの5曲を聴いてハマれ!

2019年に広島にて結成されたロックバンド、bokula.。同世代のねぐせ。ヤングスキニーと共に企画したイベント『インディーズ・ジャーニー』でも注目を集めたが、ありがちな絵空事には目も向けず、えい(G・Vo)の視点で今、感じたことを混じりっけなしに書き綴った歌詞は多くの共感を呼んでおり、多様なバックボーンを持つメンバーによって織りなされるサウンドは瑞々しい青春感が溢れている。シンプルにギターロックと括りきれない奥行きも魅力的だ。真情を吐露しているが故、人間的成長が音楽にもしっかり投影されており、どのタイミングでも目が離せない存在でもある彼ら。まずはバンドの核であり、ライブでも欠かせない5曲を聴いてほしい。(ヤコウリュウジ)


①愛してやまない一生を.


本気で夢を追いかけることに対して、どうせ無理だよとあざ笑う人は一定数いたりして、気にしないようにしてもそんな言葉の棘がなかなか抜けなかったりする。明日への一抹の不安を抱えそうなとき、疾走する骨太なバンドサウンドで全力で今を肯定してくれるこの曲が持つエネルギーはきっと確かな支えとなるだろう。加えて、安易に背中を押すような言葉が並んでいないのもいい。あくまで歌われるのはえいのストーリーであり、《夢ばっか追いかけてみてはサヨナラばっか増えてきた 踏み込んでばかりの道を進む》というのも彼自身の歩み。「もしかしたら、僕の曲で誰かの何かを動かすかもしれないって考えたら、浅はかなことは言えないなって気づいて」とえいが語っているように、いつでも今の思いを全開で叫ぶbokula.の原点がここに詰まっている。

②バイマイフレンド


リラックスしたムードで思い出を噛み締めながら、友の新たな旅路へエールを送る。ボタンの掛け違いがあったとて《結局は見えん線で切れない様に繋がってるみたいで》というころだったり、《もう語彙力無いよ/それでもう十分だって》と言葉にできない感情をそのまま綴ってしまうのもリアルで刺さるが、《1秒間も無駄ではない/1回きりの思い出なんだ》と特別なイベントがなくとも、何気ない日常も大切な1ページであると歌うのが実にbokula.らしい視点だ。発表されたのは2022年5月というコロナ禍の真っ只中で、期待していた時間を過ごせなかった人も多かったはず。そうでなくても、なんとなく日々を過ごしてしまったことに後悔がにじむ人もいるだろう。だからといって俯くことなく、一つひとつが思い出として刻まれていることに気づけるはずだ。ファンから送られた多くの写真とえいの歌唱シーンのみで描かれた飾り気のないMVも沁みる。

③夏の迷惑


2022年8月から3ヶ月連続でリリースした配信シングルの第1弾。季節を歌うということが前提としてあったというが、前のめりに夏へ飛び込んで浴衣姿に見とれながらも《カラカラになるまで笑顔でいるけど/涙を飲みたいくらいです》となるのもらしいところ。やっぱり、映画みたいなストーリーはなかなか訪れないし、なんだか嘘くさくも感じてしまう。淡い恋心を抱きつつ、理想と現実のギャップにヤラれつつ、でも諦めきれないし、という感情の機微をしっかり捉えている軽快なサマーチューンだけあって、真夏の日差しを浴びて大汗をかきながら元気いっぱいに踊り騒ぎたい曲だ。《ホロホロと僕は溶けていった/甘ったるいよな溶けたこの愛図》と意中の人へ巡らせた思案とアイスをサラッと掛けて表現するところもセンスを感じさせる。

④アオトハル


bokula.というバンドの核にあるモノは何か、と突き詰めた結果、辿り着いた青春というテーマを軸にした4th EP『Phantom youth』収録曲。青春とはある一定の時期を指すモノではなく、いつでも続いているし、これから始めてもいいし、あくまで心を燃やすことなんだと、ライブを意識した激しいロックサウンドと共に突きつけてくる。その中で注目したいのは《諦めなくていい》と《逃げてしまっていい》という、一見すると相反する言葉が並んでいるところ。バンドとしてひとつのスタンスを提示するのではなく、人それぞれ正解は違うし、それら全部が正しいんだと歌う。思いが強すぎるが故、人とぶつかることも多かったというえいが様々な経験を経て手にした答えであり、多くの人が自分の歌として受け止めることができる懐の深さも生み出している。

⑤群青謳歌


“アオトハル”と同じく『Phantom youth』に収録されており、ポップパンク的アプローチでより青春感が強く、象徴的な曲でもある。えいが中学時代にサッカー部の部長をしていたことを思い出しながら書いており、《スパイク》や《ユニフォーム》といった単語、《“かめはめ波打ちてェ!”》や《“今ここに宣誓!”》と無邪気に大声を上げたいフレーズはあれど、友達や恋人とはしゃぐキラキラした風景は一切描写されておらず、よくある青春ソングになっていないのが特徴的だ。ひとりぼっちでモヤモヤしていたことすらも振り返ってみれば輝いてた時間であり、誰もが青春を過ごしているんだと歌う。“バイマイフレンド”や“アオトハル”にも通ずるが、多数派の意見が絶対的に正しいとされがちな昨今、そうじゃないんだ、みんなそれぞれが素晴らしいんだというメッセージ。最後に《“万歳 !!”》と叫ぶのも痛快だ。