スキマスイッチ | COUNTDOWN JAPAN 16/17

音楽への愛と憧憬に満ちたポップマジック

2016年のスキマスイッチは過去の自分たちのオリジナル曲をリアレンジしてアウトプットする特殊な1年だった。音楽を新しさだけで捉えない、どこまでもスキマらしい研鑽の1年の最後のライブがこのGALAXY STAGE。この日はラストの“全力少年”まで、鉄板のライブアンセムを極上のアレンジで届ける攻めのステージだった。

大橋卓弥、常田真太郎を含む8人編成のライブは、常田が弾くグランドピアノのフレーズを皮切りに“螺旋（らせん）”からスタート。ホーンセクションを加えた豊潤なアンサンブルを聴かせると、続く“ＳＬ９”もまた原曲とはガラリと変えたアレンジだ。ドラマチックに加速するエモーションのなかで、軽快にスキャットする大橋の歌唱は、爽やかなポップ歌手というよりも、衝動を叩きつけるロックシンガーのよう。音源が完成形ではなく、ある種の素材のように自由に遊ぶスキマのライブはいつも変幻自在だ。

MCでは「スキマスイッチ、今日初めて観た人はどれぐらいいますか？」と問いかけると、満員のフロアからはけっこう手があがった。「ショックなほどいますけども……（笑）」（大橋）、「ここで出会ったのも何かの縁です」（常田）。そんなふたりの微笑ましいやりとりから、ぶちかました渾身のロックナンバー“ガラナ”。さらに大橋お得意の超難易度の高いコール＆レスポンスから突入した“全力少年”では、特大のシンガロングで会場を一体にして、最後に大橋がグランドピアノの上から大ジャンプ！奥深くて、魔法みたいなポップミュージックが、集まったお客さんをひとり残らず笑顔にする。やっぱり、みんなスキマスイッチが大好きだ。（秦理絵）