女王蜂

狂騒の果てに、幸福なるロックデスコへ

全員がオンステージ、かと思いきやアヴちゃん(Vocal)の姿が見当たらない。でもメンバーのセッションに乗せて声が聴こえる。いったいどこ? そうやって焦らされたお客さんたちは、“金星”に入る前の絶妙なタイミングで現れると、それだけで大盛り上がりだ。さらにジャジーに魅了しファンキーに踊らせる曲の途中、《さみしいから今日は 帰さない》という歌詞の部分でうれしそうに沸く。まだ1曲目が終わっていないというのに、バンドと観客の揺るぎない絆が浮き彫りになった。

COUNTDOWN JAPAN 14/15以来2年ぶりの出演となる女王蜂のステージは、ここから怒涛の展開をみせる。ゴリゴリのロックをヒステリックにかき鳴らしたかと思えば、次の瞬間にはキーボードによる美しい旋律が鳴り響く。Oiコールが繰り出されるとフロア全体からレスポンスが起き、トドメは“デスコ”におけるアヴちゃんの脱衣パフォーマンス。耳をついたのは、歓声というよりもはや絶叫だった。ライブを観るにあたって僕らはいろいろなアクションをするけれど、ここまですべてをごちゃ混ぜにやらされてしまうアクトは他にはない。きっとこの感情を幸せと言うのだろう。

ノンストップで5曲を駆け抜け、「2016年いろいろあったと思う。だけど、この曲で真っ赤に燃やそうと思います」(アヴちゃん)のMCに続き最後に披露されたのは“告げ口”だ。セリフを導入した歌劇のような曲。セリフと言っても実はちゃんとメロディがあって、そのピッチとリズムの感じが絶妙だから違和感なく入ってくる。そして内臓をえぐり出すような醜い気持ちを爆発させる姿も唯一無二だ。圧巻のフィナーレであった。(秋摩竜太郎)

「ROCKIN'ON JAPAN3月号」(1/30発売)の付録は、このフェスのすべてを詰め込んだ特別別冊。全アクトのセットリスト、ライブ写真を完全網羅!

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