植田真梨恵 | COUNTDOWN JAPAN 16/17 | クイックレポート

ASTRO ARENA 12/31 20:35

暴れまわる感情を手懐けない美学

ASTRO ARENAには植田真梨恵が登場。SEがミステリアスな雰囲気を生み出すなか、サポートバンドの面々とともに植田も姿を見せると、目覚まし時計のような効果音がライブの始まりを告げた。直後、暗転。スポットライトを浴びた植田が《不安で不安で》と繰り返す“心と体”冒頭のフレーズを歌い始める。ダダッダダッ！とサポートバンドが堅くリズムを刻むと、2曲目“壊して”へ。そして“メリーゴーランド”ラストには凄まじいシャウト。鬼気迫る、とはこういうことを指すのだと思う。

「みなさん今年は頑張りましたか？私は結構頑張りました」と語りかけた最初のMCに入るまで、冒頭に連続して披露された3曲はインディーズ期のもの。ポップでキラキラとした歌も歌うことのできる彼女だが、本日はそのような曲は一切なし。エレキギターをガンガン掻き鳴らしながら、自分の奥底に渦巻く感情を吐き出すように植田は甲高い声を引っ張り出し続ける。それはバンドとともに衝動を鳴らしているときだけでなく、弾き語りでの“コンセントカー”でも同様だった。

「私はずっと歌が好きで子供の頃から夢を見ていました。圧倒的なパワーを出す音楽家が好きです。みなさんはどうですか？ここで会えた人とまた会えたらいいなと強く思います。それまで皆さんの夢がいっぱい叶いますように。そう思いながら――」と、頭に浮かぶ言葉をそのままつなぎ合わせたようなMCを経て、キーボーディストとふたりで奏でた“スペクタクル”で終了。内なる感情／欲望に夢を託して、とっておきの大冒険に変えていくこと。今目の前でそれを体現していく彼女の姿に、多くの人が勇気をもらったはずだ。（蜂須賀ちなみ）