パスピエ

ピンチが生んだ、今日だけの特別なパスピエ

「一生懸命、今日だけの特別アレンジでやります、宜しくお願いします!」と開演前のサウンドチェックでみんなに声をかけたのは、成田ハネダ(Keyboard)。昨日、ベースの露崎義邦の急病のため、彼を除く4人で今回のCOUNTDOWN JAPAN 16/17への出演を発表したパスピエ。会場いっぱいのオーディエンスの歓声に迎えられて4人が登場すると、大胡田なつき(Vocal)が冒頭から「ジャパーン!」と叫び、1曲目の“チャイナタウン”へ。何だかいつも以上に闘志に満ちたキレッキレで熱い演奏ぶりにASTRO ARENAは凄まじい盛り上がり。三澤勝洸(Guitar)が華麗なソロをキメ、やおたくや(Drums)がみんなの手拍子を煽る。成田も全体の指揮をとるかのように鮮烈なフレーズを弾きながら、歓喜に満ちた会場を見渡すと、ホッとしたような笑顔を見せた。

本来はベースラインがかなり効いているアレンジの“蜘蛛の糸”も、いつもとは違うバージョンでしっかりと楽しませてくれた。全体的に、音数が少ないぶんソリッドでエモーショナルな演奏になっており、パスピエのロックな部分が露わになっている。続く“メーデー”でも、ベースが鳴る部分がことごとくほかの3人の音でかわるがわるカバーされていく感じが見事! 彼らのミュージシャンとしての底力を感じずにはいられなかった。

4曲終わった時点ですでに汗だくだった成田が「しんどいわ! 露崎聞こえてるか!」と笑いながら叫んだ。「今日、ライブが出来て良かったです。次は5人で会いましょう」と大胡田が言い、最後は鍵盤をフィーチャーしたスペシャルアレンジでの“最終電車”を。バンドのピンチが生み出した、今日だけのパスピエ。本当によくやった!(上野三樹)

「ROCKIN'ON JAPAN3月号」(1/30発売)の付録は、このフェスのすべてを詰め込んだ特別別冊。全アクトのセットリスト、ライブ写真を完全網羅!

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