め組

フロアを「放課後色」に染めるノスタルジー

そろそろ元さよなら、また今度ねのフロントマン・菅原達也(Vocal, Guitar)の新バンドという説明は不要だろう。お馴染みの“め組のひと”のSEで登場しため組。なぜか巨大なおでん(!)を手にした菅原が「準備はいいですかー!?」と叫ぶと、キラキラとしたポップソング“マイ・パルプフィクション”からライブはスタートした。

「去年、初出場しまして、今年で2回目です!」と、菅原。そのときはCDのリリースもなかった彼らだが、知名度をあげた今年はフロアに大勢のお客さんが詰めかけていた。そして、「初めて観た人は今後絶対に余所見しちゃダメだよ」と言って、出嶋早紀(Keyboard)の軽快なピアノが絡む“余所見”から、富山京樹(Guitar)のスリリングなリフが炸裂したアップナンバー“悪魔の証明”へ。曲ごとに180°表情が変わるめ組の楽曲だが、そのどれにも心踊る陽性のポップネスが通奏低音のように流れている。

「この曲を説明すると頭がおかしいと思われるかもしれないけど……」と前置きをした“放課後色”は、菅原の説明を要約すると、高校生の彼氏が、先生に怒られている彼女を助けるという物語仕立ての曲。設定はファンタジーだが、そこで描かれるシチュエーションは、初めて「君」に触れる瞬間だったりしてとても甘酸っぱい。そんなノスタルジーとエモーションが交錯するバンド新境地の曲のあと、ラストの“500マイルメートル”では、アウトロで菅原が「もういくつ寝ると~♪」と”お正月”を歌い出した。ああ、2016年も残りわずかだ。ライブが終わるころ、フロアはすっかり笑顔に包まれていた。(秦理絵)

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