ハイスタはずっと僕らのそばに

 この世に産み落とされてから経験したことのない2分00秒。初めて"STAY GOLD"を聴いた時、全身に稲妻が走った。
僕とHi-STANDARD、通称ハイスタとの出会いは3年前、高校3年生の時にYoutubeでたまたま聴いたこの1曲が頭の中を離れず、思い切って『MAKING THE ROAD』というアルバムを授業終わりに買ったことから始まる。ワクワクとか喜びを通り越して緊張に近い感覚のまま帰宅し、早速再生ボタンを押した。その瞬間、今まで聴いたことがないくらい歪んだ音色のギターとベース、目が回るほどテンポが早いドラム、そして英語の詞という一見恐ろしい、けれど美しいハーモニーが鼓膜に響いた。もっと前から音楽に興味を持っており、ジャンル問わずたくさんのアーティストの曲を聴いてきたつもりの僕ではあったが、こんな経験は生まれて初めてだった。1曲目"Turning Back"から20曲目のボーナストラックまで一気に駆け巡っていき、気が付いたらもう一度最初からCDを流し始めていた。言葉で表現するのは難しいが、とにかく「衝撃」だったのである。『MAKING THE ROAD』だけでは物足りなく感じた僕はそれよりももっと前の作品にも手を出した。ハイスタが一番最初に出したミニアルバムで音質はまだ手探り状態だった『LAST OF SUNNY DAY』、僕が生まれた年に発売されたハイスタ初めてのフルアルバムでカバー曲も多く収録された『GROWING UP』、これまで以上に歌詞のメッセージ性が強くなった名盤『ANGRY FIST』等々。既に生産が終了し手に入らなくなってしまった音源も多いのは残念だったが、全ての作品が「パンクロック」・「メロコア」というジャンルでありつつも、それぞれ違った色を持っており、何度も繰り返し聞き続けることができた。当時僕は大学受験を控えていて、志望している大学に入れるのか、自分がやりたいことは何なのか、いつも悩みを抱えていた。しかし、そんな悩みを吹き飛ばしてくれるくらいパワフルで明るいハイスタの音楽がいつも僕の側にあった。「戦う拳」を失わないように必死に勉学に励み、なんとか第一志望の大学に入学した。
 そして受験から解放され新しい生活に足を踏み入れることになった僕は、中学2年生の頃に買ってからすぐに挫折して実家の押入れの中にずっとしまい込んでいたエレキギターを下宿先に持って行き、ハイスタのコピーを始めた。どうしても"STAY GOLD"のリフや"CLOSE TO ME"のギターソロを弾いてみたくなったのだ。「ハイスタに憧れてギターを始めた」とか「ハイスタに影響されてバンドを組んだ」など様々なアーティストの方々がハイスタにラブコールを送っているのも納得がいく。それは、純粋にハイスタの音楽が「カッコいい」から。僕も、ハイスタのカッコいい音楽に心動かされ、もう一度エレキギターを始めることにしたのだ。弾いてみるとなかなか難しいし、現時点でも未だ練習の身である。ただ、ハイスタの曲を弾くことはとても楽しい。横山健のような激しくも華麗なギターをプレイできるまで、毎日エレキギターは弾き続けたいと思う。
 大学に入ってからの僕は、色々なバンドのライブを見にライブハウスやフェスに足を運ぶようになった。しかし、ハイスタのライブはどうしても見られなかった。それはもちろん、ハイスタが活動を休止しており、3人がそれぞれ違う活動をしているから。B・Vo難波章浩NAMBA69、G・横山健はKen Yokoyama(Ken Band)、Dr・恒岡章はチャットモンチーのドラムサポートなど、それぞれが違うバンドで音を鳴らしているから。どんなに願ってもハイスタのライブはもう見られないのか、と僕が思っていたところで突如、2015年にBRAHMANの20周年記念イベント「尽未来際~尽未来祭~」を始めとする計3本のライブにハイスタが出演することが解禁された。しかし、どうしてもその日は予定が合わず、3つのうちの1つにも参加することはできず、とても悔しい思いをした。
 しかし、またチャンスが訪れた。2016年12月にあの「伝説」と呼ばれるフェス、「AIR JAM」が4年ぶりに、そして初めて九州の福岡で開催されることがアナウンスされたのだ! それから数日後、出演アーティストが一挙公開されると共に、チケットの抽選受付が開始された。1度しか飛行機に乗ったことがなく、九州にも行ったことがなく、一人旅するのも初めてで、不安なことはいっぱいあった。だが、それよりも生でハイスタのライブを見てみたい、という気持ちが強かった。やっぱり、音源だけでは物足りず、ライブを見てからこそ本当の魅力が味わえるのがバンドだと思う。倍率は相当高いのだろうが、今回ばかりは諦めたくない。そう思いながらチケットの抽選を申し込んだ。結果、奇跡的にアリーナスタンディングのチケットが1枚当選。「当選」の2文字を確認した瞬間、思わず涙が零れた。ようやく、ようやく念願のハイスタが見れる。それもアリーナスタンディングで。12月23日が待ち遠しくて仕方なくなった。ちょっと早いけど、久しぶりのクリスマスプレゼントの確約のようで嬉しく思った。
 しかし、ハイスタからのプレゼントはまだ終わっていなかった。2016年10月4日火曜日、僕はTwitterのタイムラインを見ていて驚愕した。なんと、CDショップにハイスタの新譜らしきものが並んでいた、との情報を得たからである。その日、大学の図書館で勉強していた僕は居ても立ってもいられなくなり、すぐに近くのCDショップに駆け込んだ。そこには本当にハイスタの新譜が置かれていた。タイトルは『ANOTHER STARTING LINE』、つまり「もう一つのスタートライン」。すぐに帰宅し、『MAKING THE ROAD』を聴く時と同様に緊張に近い思いを抱きながら再生ボタンを押した。1曲目の"Touch You"は横山健のギターフレーズから幕を開ける。ハイスタと初めて出会った時と同じように、ギターの音が強く歪んでいる。そこからはまるで一瞬の出来事のようで、全4曲を通して聴き終わった後には自分の中に色々な感情が湧き上がった。懐かしい。けれど、古臭い感じは全くしない。これが最新型の、2016年のハイスタなんだ、と感じた。この作品は事前告知が一切なし、という情報過多のこの世界では考えられないような売り方だとして様々なメディアに取り上げられ、話題になった。かつてハイスタが精力的に活動していた頃はSNSはもちろん、インターネット自体あまり普及していなかったため、告知なしの販売もやっていたそうだが、それを今のこの世の中でやってしまうとは驚きである。僕を含め、世の中のパンク・キッズの人たちは何度この日を待ち望んだことだろう。16年ぶりのシングルは、確かにみんなの心に強く残り、3人が「新たなスタートライン」に今まさに立った、ということを強く宣言してくれた。その翌日正午には公式にシングル発売のアナウンスがされ、それと共に12月にシングル第2弾として『Vintage&New,Gift Shits』というカバー曲が4曲収録された新譜が発売されること、そして東北と新潟を回る全4公演の「GOOD JOB!RYAN TOUR 2016」の開催が発表された。ハイスタは一度2011年に再結成し、その年に横浜で、翌年には東北でAIR JAMを開催したが、この時のAIR JAMで「俺たちは日本のために集まった」と発言していたのをDVDで見た。これは、2011年3月11日にあった東日本大震災を受けて日本が元気をなくしてしまったことを受けての開催、という意味である。何度も繰り返し起こる余震や津波の恐怖、放射能の問題など、本当に明日が来るのかが分からないような状況に、東北の方たちだけでなく、日本全体が暗いムードに包まれていた。そんな時にハイスタはAIR JAMを開催し、個人の活動でも盟友たちと東北へツアーを回り、東北にライブハウスを建てるプロジェクトを「東北ライブハウス大作戦」と題し、精力的な活動をした。ハイスタを始めとする様々なバンドたちが復興支援に乗り出して積極的に音楽を鳴らしてくれたことに、どれだけ日本が元気づけられたことだろう。そして、またツアーで東北や新潟にハイスタが帰ってきてくれるということで、どれだけ現地の人が力をもらったのだろうか。ライブハウスツアーに行きたい気持ちももちろんあったが、今回は是非東北に住む人たちに行ってほしいと考え、その日は気持ちだけ東北に送った。ツアーのレポートやセットリストを確認したが、とても特別な夜になったようで1ファンとして嬉しくなった。
 そして、ついにAIR JAMが近づいてきた。開催日前日の12月22日に福岡に飛行機で前乗りして、博多や天神などを観光した。九州といえば、2016年4月に大きな地震が熊本や大分を襲っている。もちろん、福岡にも被害があったはずである。今回AIR JAMを福岡で行うのはその地震があったから、という理由ではないと横山健はホームページのコラムで綴っていたが、何か繋がりがあるのでは、と思ってしまう自分がいる。福岡の名所を回った後はビジネスホテルに宿泊し、翌日のAIR JAMに備えた。
 そしてAIR JAM当日。会場である福岡ヤフオク!ドームに到着した時に、奇跡と呼べる光景が見られた。ヤフオク!ドームの近くの空に、虹が架かっていたのである。この光景に、思わず音楽プレーヤーで名曲"MOSH UNDER THE RAINBOW"を聴きながら、会場へ向かう足を速めた。開場時間前はスポンサーブースや復興支援ブースなどを見て、いよいよ入場。今回のAIR JAMではファミリー指定席という親子で観覧できる席のチケットも販売していたためか、会場には子供から大人まで、本当に幅広い年齢層のファンが見受けられる。
 そして開演時間12時の5分ほど前に、ハイスタのベースボーカルである難波章浩が登場し、簡単な注意事項を述べる。その後、ステージ後方のスクリーンに出演するバンドがタイムテーブル順に発表され、いよいよ1組目、WANIMAのライブからAIR JAM2016がスタートした。WANIMAは何度もライブハウスで見ているほど好きなバンドなのだが、やはりリスペクトしているハイスタ主催のフェスというだけあって、メンバーたちもいつもより嬉しそうに見えた。彼らのライブは会場が笑顔でいっぱいになるのが特徴で、それでも時に涙を流せたりする。熊本県出身ということもあり、初めてAIR JAMが九州で開催されることを楽しみにしていた彼らの素晴らしいライブから幕が上がった。2組目はThe BONEZPay money To my PainRIZEとして出演していたメンバーもいるが、The BONEZとしては初めての出演となる。骨太でラウドな曲で、会場をさらにヒートアップさせた。3組目は東京スカパラダイスオーケストラ。今回の出演者では一番異色なアーティストだと思われる。しかし、日本国内・国外を問わず様々なフェスを盛り上げてきた経験があるアーティストとして、その実力を十二分に発揮しているステージだった。途中、横山健と"Punk Rock Dream"と"道なき道、反骨の。"でスペシャルなコラボを見せた。ハイスタキッズにもKen Bandのファンにも嬉しいサプライズだった。続いて登場したのは日本だけでなく世界で活躍している猛者、Crossfaith。今年のAIR JAMで一番激しいサウンドでスタンディングはモッシュとダイブの嵐に。
 ここでインターバルタイムが入る。このインターバルの間にも楽しませてくれるのがBMXライダーとスケーターによるショウ。ロックやストリートといったカルチャーを1日で味わえるのがこのフェスの醍醐味なのである。
 そして、ライブも中盤戦。5組目はHAWAIIAN6の登場。ハイスタに憧れてバンドを組んだ3Pメロコアバンドだ。Dr・畑野の最後のMCに、涙腺が緩んだ。「バンドを続けてきて、良かった」。彼のこの言葉に、メンバーも思わず泣いていた。それからも激しいライブが続いたが、多くの観客は涙を流しながらダイブをしていた。きっと、胸にこみ上げる思いに我慢ができなくなったのだろう。感動を与えてくれたHAWAIIAN6の次には、メロコアとスカを組み合わせた特殊なサウンドが魅力の大阪のバンド、HEY-SMITHが登場。G・Vo猪狩は「俺はハイスタに頭をおかしくされた! 今度はおまえらの頭を俺がおかしくしてやるぞ!」と気合十分に宣戦布告。中盤でTp・イイカワケンが"TINKERBELL HATES GOATEES"をカバーするという嬉しいサービスもあった。そして、1998年、2000年、2011年、2012年の開催に引き続き出演したBRAHMAN。"お母さん、お願い"のSEが流れると大歓声が巻き起こる。今回のライブで、Vo・TOSHI-LOWが一体何を「発信」するのか気になっていたがノーMC、ノンストップで新旧絡めたセットリストを駆け巡っていた。"鼎の問"の時にはTOSHI-LOWは客に支えられながらスタンディングゾーンで熱唱していた。初めてBRAHMANを見た人にとっても圧巻で衝撃と言わざるを得ないステージだった。
 ここで再びインターバルをはさみ、いよいよ終盤戦に突入する。ここで究極の生命体、MAN WITH A MISSIONがオンステージ。彼らの"1997"という曲はAIR JAM 1997のことを歌った曲で、ハイスタやSUPER STUPID、HUSKING BEEなど初回の出演者の名前も挙がっている。この曲が、ようやくAIR JAMに響いたのである。続いて、TVコマーシャルやラジオなどで彼らの曲を聴かない日はない、ONE OK ROCKが登場。Takaは「ハイスタからの少し早いクリスマスプレゼントだと思っています」とMCし、古くからのファンも初見のファンもかかってこい!というような圧倒的なパフォーマンスをしていた。彼らも海外で長く活躍しており、今やツアーを回るほどだが、それがハッキリと証明されるアクトで演奏の迫力はそりゃあもう凄かった。そして、毎年7月に「京都大作戦」を開催し全国各地のフェスにも引っ張りだこの10-FEETが2011年、2012年の開催に引き続き今回も登場。ギターボーカルTAKUMAは何度も何度も客を煽る。それにつられ盛り上がるオーディエンスたち。そして、ハイスタの"START TODAY"のカバーでフロアを更に沸かせる。やはり様々なフェスでトリを務めている経験も多く、客をノせるのが本当に上手い。僕もライブハウスやフェス会場を問わず何度も彼らのライブを見ているが、彼らのライブに"外れ"だと感じたことは一度もない。そのくらい、いつ見ても満足できるパフォーマンスをしてくれるバンドなのだ。
 10-FEET終了後、10分間の最後のインターバルが入る。この時の会場は、妙に静かだったと思う。きっとみんな、あと数分でハイスタのライブが始まるんだと、噛み締めていたんだと思う。僕もそのうちの1人だった。ここで色々な思い出が頭の中に蘇ってきた。"STAY GOLD"でハイスタを知り、『MAKING THE ROAD』でドハマリしたこと。行きたくてもライブに全然行けなかったこと。そして、今日素晴らしいアーティストたちがハイスタに向けて繰り広げた熱演のこと。こんな「伝説」みたいな日も、間もなく終わりを迎えてしまうということに、少しだけ寂しさも覚えた。
 定刻20時05分を少し過ぎたあたり、会場の明かりが消され、ステージ後方のスクリーンに映し出されたのは「Hi-STANDARD」という文字。その瞬間、今日一番大きな歓声が沸き起こった。SEに乗りながら、ゆっくりと難波章浩、横山健、恒岡章がオンステージ。そして待ち望んだ瞬間。1曲目に披露されたのは、アルバム『GROWING UP』の1曲目に収録されている"MAXIMUM OVERDRIVE"。この瞬間、また涙が零れてきた。音楽プレーヤーで聴いたあのザクザク歪んだ音が、今確かに目の前で鳴らされているのだ。イントロに合わせジャンプする。拳を突き上げる。歌う。叫ぶ。どうしてこんなに心に響くんだろう。そして"DEAR MY FRIEND"や"CLOSE TO ME"など友人や愛しい人に向けたハイスタ流のラブソングの後に、世間を騒がせたあの曲、"ANOTHER STARTING LINE"がプレイされる! サビでは大合唱を巻き起こしていたし、当然僕も力の限り歌った。ハイスタ、またスタートラインに立ってくれてありがとう。そんな気持ちだった。難波章浩が「AIR JAM世代とかそうじゃないとか関係なく、今日でAIR JAM世代を更新してもいいかな?」とMCし大きな歓声が沸いていて、僕自身もAIR JAM世代になれたような気がして嬉しく思った。その後メンバーが「今年のワーストビデオ」と称したミュージックビデオが話題になったThe Supremesのカバーソング"You Can't Hurry Love"、スマートフォンのライトで会場に白く美しい雪のような情景が生み出された"STARRY NIGHT"。そして次に僕たちの耳に飛び込んだのは、何度も聴いたあのギターリフ。"STAY GOLD"である。この1曲の間は、記憶が飛んでおり、自分がどんな動きをしていたのかは覚えていない。しかし、相当嬉しかったということだけは覚えている。僕自身何度もギターで練習したこの曲が、生で聴けている。こんな高ぶることは今までなかった。本編ラストの曲は泣かせる曲、"BRAND NEW SUNSET"。横山健の美しいアルペジオが会場に響き本編は終了。
 当然、もっと聞きたい!という気持ちがあったためアンコールを叫ぶ。しばらくして、彼らはまた戻ってきてくれた。"TURNING BACK"から始まったアンコールは、2曲目にジョン・レノンの名曲のカバー"Happy Xmas(War Is Over)"が演奏された際、雪が降るようなこの1曲にピッタリの特効が使われ、熱気が渦巻く会場に雪が降る異様な光景が醸し出されていた。そして、最後の最後の曲である。難波章浩が「今日、虹が架かっていたんだってね!」と話した後にプレイされたのは、もちろん、"MOSH UNDER THE RAINBOW"である。隣の名前も出身地も知らない人たちと肩を組み、大きな円を描きながら回る。そして、みんなで笑顔で歌う。今日一番のピースフルな光景だったし、これからもこの光景をずっと見続けたいと願う程だった。舞台袖でハイスタを見ていた出演者をステージに呼び込み、観客席を背にして集合写真を撮影。この時もみんなの笑顔は輝いていた。そして、ついにハイスタのライブが終演。つまり、僕のAIR JAM 2016はこうして幕を閉じたのであった。
 ライブが終わった後は、色々な感情がごった返していた。やっとライブが見られたという喜び、そして遂に終わってしまったという悲しみ。ただ、これだけは言えるのは、初めてのAIR JAMに参加して本当に良かったということ。1日を通して、ハイスタの魅力がさらに強くなったし、またハイスタを好きになった。
 翌日午後に福岡を離れ、関東に戻り、思い出にふけっていた時に、ある記事を見つけた。それは、横山健がインタビューで「もうハイスタの活動をストップしない」と話している記事だった。つまり、今後またハイスタのライブが見られるチャンスはまだあるということだ! もちろんKen Yokoyamaとしての活動やNAMBA69も続けていくとのことだが、ハイスタとしても活動していく、という宣言はとても嬉しかった。ライブはもちろん、ニューシングル、さらにはニューアルバムの発売だってあるかもしれない!「AIR JAM世代」を再び更新するためにまたあの伝説の祭を開催してくれるかもしれない!『ANOTHER STARTING LINE』を事前告知なしで販売したように、もしかしたら今後CDショップに足を運べばそこにまたハイスタの新譜が置いてあるような日が来るのかもしれない。そう考えてくると、ワクワクが止まらないのだ。どんなに平凡な生活を送っていたって、この先に働きづめの毎日が待っていたって、「輝くことを忘れるな!」と言ってくれる、大切なことを教えてくれる唯一無二の存在ハイスタがずっとそばにいてくれる。これから就職活動を控えている僕にもずっと寄り添ってくれるだろう。こんな幸せを体験できるなんて、この時代に生まれて良かったと心底思う。
 2016年はロック界にもいろいろな風が吹いた年だった。映画「君の名は。」の大ヒットにも関わっているRADWIMPSの大ブレイク。申年にサナギの中から復活を遂げたTHE YELLOW MONKEY。そして、僕たちのパンクヒーローHi-STANDARDの本格再始動。
ハイスタを知った時の自分に「2016年にハイスタ本格再始動してシングル出すよ!」って言っても信じないと思う。でも、ハイスタは帰ってきてくれた。そして僕は、憧れの「AIR JAM世代」の一員にもなれた。これから、ハイスタはずっと僕らのそばにいてくれるのだ。


この作品は、第3回音楽文 ONGAKU-BUN大賞で入賞した埼玉県・後藤 和輝さん(21歳)による作品です。


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