いつも通りの落ち着いた様子でステージに登場した、岸田繁(Vocal, Guitar)と佐藤征史(Bass, Vocal)。サポートに松本大樹(Guitar)、野崎泰弘(Keyboards)、福田洋子(Drums)、そして加藤哉子とアチコのコーラスふたりを含む7人編成の大所帯だ。
岸田はEARTH STAGEに集まったオーディエンスを見渡し「いっぱいや。ありがとね。年末をみんなと楽しみたいと思います」と言うと“WORLD’S END SUPERNOVA”でライヴをスタートさせた。イントロから歓声が沸き、緻密でクールな温度感でありながら、どっしりと雄大なビートがEARTH STAGEに広がる様は圧巻。日本語の情緒溢れる歌がそこに乗ると、更に味わいが深まる。アルバム『THE WORLD IS MINE』(2002年)のリリースから年月を経ての距離感がまた、絶妙な新鮮味をもたらしているように感じた。続けざまに明るく華やかな“ワンダーフォーゲル”が放たれ、サビで大きく左右に手を振るオーディエンスをしっかりと見つめながら歌う岸田の姿が印象的だ。
こうした選曲は、2016年9月にバンド結成20周年を迎えるにあたり、あえて過去を振り返ったうえで、これからを創っていく、という意志を込めて「NOW AND THEN」というコンセプトライヴを行っている今の彼らならでは。サウンドも歌の旋律も予測不能なユニークさが盛り込まれた“Liberty&Gravity”で更に盛り上がったあとは、ギターの音色を鍵盤が追いかけるような“ばらの花”のイントロに、また歓声が上がる。美しい層を織りなすようなミニマムな演奏が歌を丁寧に際立たせ、岸田は真っ直ぐにその歌と向き合う。まさに色褪せない“ばらの花”が、すんなりと心に届けられるような贅沢な時間だった。
「みんな朝から呑んでる?」と岸田がフロアに問いかけると、「年末年始は呑むためにありますね」と佐藤。すると岸田が慌てて「あ、これ『おなじみのゆるいMC』とかってクイックレポートに書かれるやつや。言うてもうた」なんてやりとりを挟み(せっかくなので拾わせていただきます!)、くるりの永遠のアンセム“ロックンロール”へ。オーディエンスが嬉しそうに手を高く掲げる様とキラキラとしたサウンドが美しい時間となった。
ラストの“虹”においても、くるりふたりのストイックかつ真摯な音楽への姿勢が、楽曲が放たれる時の清々しさや神聖さのようなものを生み出していて、彼らのミュージシャンとしての在り方に、あらためて尊敬の念を抱かずにいられないステージだった。気の早いお年玉をもらったような嬉しい気持ちになりながら、来年は20周年という節目にまたどんな音楽を響かせてくれるのか、楽しみでならない。(上野三樹)
岸田はEARTH STAGEに集まったオーディエンスを見渡し「いっぱいや。ありがとね。年末をみんなと楽しみたいと思います」と言うと“WORLD’S END SUPERNOVA”でライヴをスタートさせた。イントロから歓声が沸き、緻密でクールな温度感でありながら、どっしりと雄大なビートがEARTH STAGEに広がる様は圧巻。日本語の情緒溢れる歌がそこに乗ると、更に味わいが深まる。アルバム『THE WORLD IS MINE』(2002年)のリリースから年月を経ての距離感がまた、絶妙な新鮮味をもたらしているように感じた。続けざまに明るく華やかな“ワンダーフォーゲル”が放たれ、サビで大きく左右に手を振るオーディエンスをしっかりと見つめながら歌う岸田の姿が印象的だ。
こうした選曲は、2016年9月にバンド結成20周年を迎えるにあたり、あえて過去を振り返ったうえで、これからを創っていく、という意志を込めて「NOW AND THEN」というコンセプトライヴを行っている今の彼らならでは。サウンドも歌の旋律も予測不能なユニークさが盛り込まれた“Liberty&Gravity”で更に盛り上がったあとは、ギターの音色を鍵盤が追いかけるような“ばらの花”のイントロに、また歓声が上がる。美しい層を織りなすようなミニマムな演奏が歌を丁寧に際立たせ、岸田は真っ直ぐにその歌と向き合う。まさに色褪せない“ばらの花”が、すんなりと心に届けられるような贅沢な時間だった。
「みんな朝から呑んでる?」と岸田がフロアに問いかけると、「年末年始は呑むためにありますね」と佐藤。すると岸田が慌てて「あ、これ『おなじみのゆるいMC』とかってクイックレポートに書かれるやつや。言うてもうた」なんてやりとりを挟み(せっかくなので拾わせていただきます!)、くるりの永遠のアンセム“ロックンロール”へ。オーディエンスが嬉しそうに手を高く掲げる様とキラキラとしたサウンドが美しい時間となった。
ラストの“虹”においても、くるりふたりのストイックかつ真摯な音楽への姿勢が、楽曲が放たれる時の清々しさや神聖さのようなものを生み出していて、彼らのミュージシャンとしての在り方に、あらためて尊敬の念を抱かずにいられないステージだった。気の早いお年玉をもらったような嬉しい気持ちになりながら、来年は20周年という節目にまたどんな音楽を響かせてくれるのか、楽しみでならない。(上野三樹)
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