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COSMO STAGE13:00

時と共に、経験と共に、ひたすら研ぎ澄まされていく音

2003年に初めてCOUNTDOWN JAPANが開催された頃から何度も出演を重ねているZAZEN BOYS、今年は2日目のこの時間のCOSMO STAGEに登場。
当時はステージが2つだけで、このバンドは「NUMBER GIRL解散後に向井秀徳(Vocal,Guitar,Keyboard)が新しく組んだバンド」という認識のされかたで、松下敦(Drums)と吉田一郎(Bass)はまだいなくて、向井は別の日に「無戒秀徳アコースティックエレクトリック」でも出演したりしていて……と、サウンドチェックを眺めながらいろいろ思い出す。
なお向井、本日はキーボードはなし、の模様。

「空気を切り裂くような」というのはエレキギターの音の形容の定番だが、空気どころかコンクリぐらい切り裂きそうな向井のカッティングで始まる“Riff Man”が1曲目。あの、ドラムのリズムに各楽器と歌が沿うのではなく、4人が互いの呼吸を読みながらまったく同じタイミングで音を出し続けるような、まるでシンクロナイズドスイミングや新体操の団体演技みたいなアクロバティックな音がCOSMO STAGEのフロアを満たす。何度観ても、何度聴いてもものすごい曲だと思うし、ものすごいバンドだと思う。
続いては“Honnoji”。向井の《本能寺で待ってる》という雄叫びを各楽器が追っかけるように曲が展開していくさまに、みんな息を呑んで聴き入る。向井の歌とギター、カシオマンこと吉兼聡(Guitar)のギター、吉田一郎のベース、柔道二段松下敦のドラム、本当に、どの方向から聴いてもどの方向から観ても死角なし、弱点らしきものゼロ。すごい。いつ観てもそう思うけど。
曲が終わると向井、「幕張。時には女とまぐわり──」と、このフェスのZAZEN BOYSのステージでおなじみのフレーズを口にする。これ、1年目から言ってたっけ、どうだったっけ。

“SEKARASIKA”“Maboroshi In My Blood”と初期の曲をたたみかけ、向井のギターの音に合わせて4人で生声でハモってから、この日初めてのミドルチューン“6本の狂ったハガネの振動”へ。ハードロック、ブルース、ヒップホップ、ポスト・ロック、エレクトロニカ等々のさまざまな音楽要素が入ったZAZEN BOYSの作品群の中ではR&B寄りのこの曲で、フロアの緊迫感をいったんほどく。
そして向井、「幕張シティのみなさん、ほんとに今日はお集まりいただきましてありがとうございます。幕張、時には女とまぐわり──」と再びおなじみのセリフを口にし、ラストの“破裂音の朝”に突入。再びものすごい緊迫感がフロアを襲った。

ライヴで体験したい曲だけが並んだ、まさに珠玉のセットリストだった。今年の夏のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015の時はどうだったっけ、近いセットリストだったっけ。見てみた。全然違った。でもやっぱり、ライヴで体験したい曲だけが並んでいた。そういう曲だらけのバンドだ、ということだ。(兵庫慎司)

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ZAZEN BOYS

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