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EARTH STAGE18:15

悩み戸惑いながら、新章へと駆ける若き4人の姿

3日目EARTH STAGEは残すところ2アクト。というわけで、この位置には2年連続EARTH STAGE登場のKANA-BOONである。びっしりとオーディエンスが詰めかけた広大なフロア。照明が暗転すると、暗闇の中から谷口鮪(Vo./Gt.)の「KANA-BOONです! よろしくどうぞー!!」という第一声が響き、4人の姿が照明に照らし出された刹那、“なんでもねだり”の軽快なイントロが繰り出される。「ジャパーン!!」とあらためて高らかに呼びかけてオーディエンスの歌声を導き、古賀隼斗 (Gt./Cho.)の踊るようなギターソロも鮮烈なインパクトを残すのだった。

小泉貴裕(Dr.)のひときわ重く、力強いビートに導かれるナンバーは“ウォーリーヒーロー”。飯田祐馬(Ba./Cho.)のベースラインもぐいぐいとドライヴ感を加えてフロアを跳ね上がらせる。アグレッシヴな音像が続く“スパイラル”では、みるみる体感温度が跳ね上がるようだ。

「すーごい人ですねえ。でも俺らだけこんなモニターで抜かれて、俺らが後ろの方の人見えないの、不公平じゃないですか。なので、見えるやつ買ってきました」と、飯田がおもむろに紙袋から取り出したのは双眼鏡。しっかり4人分用意してあって――と思いきや、古賀が手にしたのは双眼鏡ではなく万華鏡。メンバーそれぞれフロアを覗いては感嘆の声を漏らすが、古賀は万華鏡を覗き込んで「あ、キレイ!」などと笑いを誘っている。そして届けられるのは、この日MOON STAGEに出演したシナリオアートとのスプリットシングルから、ファンキーな1曲“talking”だ。

バンドサウンドがキラキラと降り注ぐ“結晶星”を満場のハンドクラップが後押しすると、スモークが立ち込めるステージから“フルドライブ”で再びブチ上げにかかる4人。「我々も今日がライヴ納めでして、こんなでかいところで、しかもこんな最高のみんなの前でやらせてもらえて、本当に嬉しいです。1年、頑張ってきて良かったなあって」。谷口がそんな感慨を込めて披露するのは、力強さと美しさを兼ね備えたサウンドが心模様を映し出す“ダイバー”だ。

終盤、「新曲やっていいですか?」という一言でフロアをどよめかせると、1月20日リリースのニューシングル曲“ランアンドラン”が、ほっこり温かなサウンドと心の逡巡を抱えながら転がってゆく。2015年の終わりに表現力の広がりを印象付けて、2016年の再会を約束しつつ、“シルエット”の胸を掻きむしるようなメロディが今回のステージを締め括る。年明けのニューシングルから2月リリースのアルバム『Origin』、そして4月から始まるツアーへとつながる、KANA-BOON新章の予兆を感じさせた充実のステージであった。(小池宏和)

この4日間のすべてを詰め込んだ別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 各アクトのセットリスト、厳選ライヴ写真を掲載した永久保存版の一冊!

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KANA-BOON

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