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MOON STAGE19:30

未来へと繋ぐ、優しさに満ちた轟音

2日目のMOON STAGEのクロージングアクトを務めるのは、Takeshi Ueda(Ba / Vo)のソロプロジェクト・AA=だ。ベートーベンの第九のサンプリングが鳴り響き、赤い照明で照らされた荘厳な雰囲気のステージに登場したTakeshi Ueda、Takayoshi Shirakawa(Vo)、Minoru Kojima(Gt)、Nobuaki Kaneko(Dr)。Takeshiがフロア全体を指差し、拍手をしてここに集まったことへの賛辞を送る。オーディエンスもそれに応えるように歓声をあげるが、それをかき消すように爆音を轟かせ、「COUNTDOWN JAPAN! 今日は楽しんでいこうぜ!」と一曲目から新曲を投下! 痺れるようなデジタルハードコアサウンドをブチかます。間髪入れずに輝きを帯びたファストチューン“LOSER”へ。Takeshi UedaとTakayoshi Shirakawaの鉄壁のヴォーカルワーク、性急なMinoru Kojimaのギタープレイ、Nobuaki Kanekoのパワフルなドラミングに負けじとオーディエンスも拳を突き上げていく。

そして、「頭振っていくぞ、幕張!」(Takayoshi Shirakawa)と煽り、“KILROY WAS HERE”“I HATE HUMAN”“The Klock”など、獰猛な重低音と雄大なサウンドスペープがめくるめく展開を見せていく楽曲が続いていく。息をつく暇もないほどの恍惚感と脳天を突き刺すような刺激が全身にかけ抜ける。それに身を委ねているのがとんでもなく気持ちがいい。

脳天を直撃する切迫感に満ちた音塊の中、《WAR WAR》と連呼する“WARWARWAR”に続くMCでTakeshiは、2015年に起こった暴力、テロ、格差、貧困などを憂い、「いまをいきる俺たちが何を考え、どう行動するか。未来は俺たちの手にかかっています。未来を作るのは神でもなければ、一部の富を独占する1%の人間でもありません。そう、COUNTDOWN JAPANここにいるみんな、俺たち全員が未来を作る創造者です」と話した。そして、「POSTミライ/PREミライ」のメッセージを綴る“→MIRAI→(ポストミライ)”へと続ける――AA=の持つ批評性、メッセージ性を、音楽だからこそできる最高の形で表現していく展開に震える。オーディエンスもそれに応え、MOON STAGE中ののエネルギーをひとつにするかのように全身全霊で飛び跳ねる景色は圧巻だ。

その“→MIRAI→(ポストミライ)”に続き、Takeshiが「あいつを待っているんだろう?」と呼び込んだのは……Dragon Ash・Kj! そう、“M SPECIES”だ! AA=のサウンドにKjのラップが乗り、これぞミクスチャーロックという破壊力満点のサウンドだ。

熱狂が頂点に達した後に続くラストは「最後ブチアガろうぜ!」と続けた“FREEDOM”。ループする轟音ダンスビートでこれでもかと踊らせて、この曲のメッセージを遠くに届けるように、ステージも、フロアも一緒に鳴ってハンズクラップする。最後はTakeshiが深々とおじぎをし、関係者やオーディエンスへの感謝を述べつつ、「少しでも未来にとって、俺たちのこれから続く未来を、これから作っていきましょう。そして、みんなにとって2016年いい年でありますように願っています。また来年あいましょう!」と言ってステージを去った。いつまでも鳴り止まない拍手が、このライヴの充実度と素晴らしさを物語っていた。(岡崎咲子)

この4日間のすべてを詰め込んだ別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 各アクトのセットリスト、厳選ライヴ写真を掲載した永久保存版の一冊!

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