
最初の2曲を終えたところで、ハァハァと息を切らしながら「やべぇ、これ超楽しいです」と声を弾ませた柴田。サポートドラムを務めるマシータ(ex/BEAT CRUSADERS)に合図を送ると、祭太鼓のリズムにのせて、「よさほい♪よさほい♪」の大合唱が起こった。そして、「俺らも年越しカウントダウンしていいですか?」ということで、数字が表示されたモニターがステージに出現。「10、9、8……」と、その数字がゼロになった瞬間、「あけましておめでとー!」と、MOON STAGEは1日と4時間も早く2016年を迎えてしまった。あいかわらず暴走気味のパフォーマンス(笑)。続く“寝てらんねえよ”では、梅津拓也(ベース)のベースが鳴らないトラブルもあったが、「お客さんが心のなかで鳴らして」( 柴田)と言ってカバーすると、それが一層フロアの一体感を高めていくようだった。


アンコールでは、静かな口調で柴田が語りかけた。「ドラムの酒田が今年抜けたんだね。まあ……なかなか、あいつは面白いやつでした」。そして、今年11月に脱退した大切な仲間、酒田耕慈を想って作ったという新曲“別れの歌”を披露した。しみったれた別れはごめんだとばかりに力強く打ち上げられたその1曲は、別々の道を選んだ男たちの前途を祈る、切なくも温かい1曲だった。ここに集まったお客さんは、そんな忘れらんねえよの熱くて情の深い音楽に惹かれて、ここにいるのだと思う。メンバーがステージを降りたあとも、MOON STAGEは長い長い拍手がいつまでも鳴り止まなかった。(秦理絵)

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忘れらんねえよ