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EARTH STAGE14:30

現実と理想をそのまま描いた全9曲

この2日前に、ニューアルバム『People People』のリリースツアーのホール編(その前にライヴハウス編もあったのです)を、東京・中野サンプラザ2デイズでしめくくったMONGOL800。
「COUNTDOWN JAPAN! あーそびましょー!」と、キヨサク(上江洌清作/B&Vo)のおなじみの第一声でスタート、イントロが鳴った瞬間にフロア、大歓声。“あなたに”だ。1曲目からいきなりEARTH STAGEいっぱいに大シンガロングを巻き起こす。

“Love song”を経て、キヨサク、「熱いぞ! というか熱いぞ幕張。めっちゃ人いっぱいいるね、これ。すげえな。これたぶん、那覇市民ぐらい来てますよ」と喜んだり(注:そんなにはいません)、「みんなめっちゃ盛り上がってますね。負けねえぞチクショウ!」と闘志を燃やしたりしつつ、中野サンプラザにも登場したスペシャルゲスト=トランペット・Seasir(浅草ジンタ)を呼びこみ、“OKINAWA CALLING”へ。ラテンのリズムと高らかなトランペットの響きにのって、フロアみんな、思い思いに踊る。

Seasirが去り、「もういっちょ元気なやつ、やっていいすか?」とキヨサクが歌いだした瞬間の爆発のような歓声、すごかった。“小さな恋のうた”。もうみんな歌う歌う。曲の途中で演奏ストップ、キヨサク、「この歌もう、俺らのじゃないわ。続き、歌ってもらっていいですか?」と呼びかけ、さらにシンガロングがでかくなる。フェスでシンガロングが起きるのなんて見慣れた光景だけど、この瞬間は、ちょっと飛び抜けたものがあった。みんな知っている、みんなに愛されている曲がいっぱい入ったメガヒット・アルバムを持っているバンドの強さを、改めて思い知る。

“神様 ”を切々と聴かせたあと、不穏なノイズが放たれ、髙里悟(Dr&Vo)を赤いスポットが照らす中、キヨサクがトラメガを持ち《LOVE&PEACE/平和上等!!》とコールをくり返す。『People People』と書いて「ピーポーピーポー」と読ませる、沖縄が直面し続ける危機に直対応して作られた最新作の中でも特にストレートな“MONSTER GOVERMENT”だ。ステージの照明が赤一色になり、《守られぬ公約/破られる条約》《突き上げろ空に拳/突き立てろ中指》と赤裸々な言葉がメロディに乗る。

キヨサク、「いいですね、あの盛り上がりからのこの静けさ、最高ですね。『また中指立ててるな、この人たち』って」という言葉から、この曲やニューアルバムの趣旨をちょっと説明。そして「戦後70年っていう節目なんだけど、沖縄もおじいちゃんおばあちゃん、戦争経験者がどんどんいなくなってるんで、この言葉だけでも残ればいいと思って」と、“himeyuri~ひめゆりの詩~”へ。ステージを照らす照明は赤いまま。
次の軽やかなダンスチューン“PARTY”で空気を一変させ、ラストは再びSeasirが加わり、途中からDragon Ash のATSUSHI(dance)も乱入して“DON'T WORRY BE HAPPY”で楽しく華やかにエンディングを迎えた。

「ほんとはラブソングばっかり歌っていたいんだけど、曲を作ってみたら『People People』に入ってるような歌ばかりになった。『あんたたちはまだ中指立ててなさい』と言われた気がした」──というようなことを、2日前の中野サンプラザ公演のMCでキヨサクは言っていた。そんなMONGOL800というバンドの今が、そのまま表れた全9曲だった。(兵庫慎司)

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MONGOL800

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