
ズンズンと刻むダンスビートに、安島の骨太のギターリフが転がる“nova”に続けて、圧巻だったのは、激しく明滅する照明による鮮やかな光と闇のコントラストの中で、狂わしいほどの恍惚感を生んだ“techno kids”だ。スリリングで危険なアンダーグラウンドの香りと、フロアをがっつり踊らせるキャッチーさ。さらにナイーヴそうに見えて、内に秘めた想いを熱い咆哮で表現する安島のヴォーカルスタイル。それらが混沌と渦巻くThe Flickersのステージは、CDで聴いただけでは予想だにできないほど破壊力がある。


すべての負の感情を覆い隠すように高らかに鳴る演奏の中で、《存在に 情熱に/衝動に 今日もまた/全身全霊 焦がれている》と声を絞り出すように歌い上げた“supersonic”も、《今日だってここに立って/生きているからさ》と絶唱した“love in the music”も、それがロックンロールの使命だとでもいうように命を削って紡ぎ出した、その「希望の歌」には、はかり知れない生命力が宿っていた。 すべての演奏を終えたあと、安島の顔からは止めどなく汗が流れ落ちていた。それもまた、The Flickersのライヴの凄まじさを物語っていた。(秦理絵)

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The Flickers