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MOON STAGE26:15

痛ましいほどに美しい、救済の歌声

元日の午前2時を回ったところで、このディープな時間帯にMOON STAGEへと降り立ったのは小南泰葉。自らアコギをかき鳴らして歌う“3355411”で叫ぶように挨拶を投げかけ、残酷な世界を踏み越えてゆくバンドグルーヴで「マクハリーッ !!」と声を上げながら邁進していった。「皆さん楽しんでますかあーっ!?」と問いかけ、クラップを先導しながら向かうのは、ハンドマイクで頭を抱えながらギリギリの切迫感を伝える“ルポルタージュ精神病棟”。不協和音が溢れるピアノフレーズも強烈だ。

そして、思考を猛スピードで歌詞に紡ぎあげるロックチューン“嘘憑きとサルヴァドール”は、COUNTDOWN JAPAN 12/13出演時にも披露された必殺ナンバーだ。この上ないキュートさとユーモアと狂気の間で揺れ動く小南泰葉のロックに、深夜のオーディエンスも激しく波打つ。12/2にリリースされたばかりの2作目となるフルアルバムからは、“蜘蛛の糸”のソリッドなサウンドとコミカルな詩情で追い込みをかけていった。

「3月に、ツアーをやります。『僕を救済するツアー』。明日から、アイスランドに行ってきます。荷造り、何もしていません。パリにも行ってきます。テロリストに会ったら……(オーディエンスの声に)死んだふり! 正しい! オーロラとか、いろんなものを見て、音楽に還元したいです。何もない僕に、音楽があってよかった。ここに集まってくれたみんなに、言いたいことはひとつ。ありがとう」。

そう告げながら彼女はギターを爪弾き、「最後に、僕を救ってくれた歌を歌います。僕の歌が、誰かを救う音楽になっていますように」と、ニューアルバムのリード曲“傷”に向かっていった。渾身の力でストーリーを紡ぎ、「(フロアを指差しながら)本当に、本当に、ありがとうございました!」と笑顔で告げる。爆音でしか、叫びでしか描けない音楽と思いがこの世にはある。2016年の初めに鮮烈な感動を残して、彼女は去っていった。(小池宏和)

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小南泰葉

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