続く“フラッグ”のイントロが鳴ると、フロアからは大きな歓声が上がる。スローテンポにアレンジされ、まるで胸の奥底で音を立てる鼓動のように響く重低音のビートとともに押し寄せてくる焦燥感。そこから一転、ライトがパッと明るくなると、ギターは美しい歪みを帯びていき、高揚感と陶酔感が電気のように身体を駆け巡る――予想不可能で変幻自在の展開とサイケデリックなサウンドは、時間感覚が麻痺し、思考がショートするような心地好さだ。これを快楽と呼ばすに何と呼ぼうか。曲が進むにつれてどんどん速度と熱量を増していった“アドバンテージ”が終盤にさし迫るころには、その世界にうっとりと聴き惚れていたオーディエンスの身体が大きく揺れていた。
「どうもありがとう。次で最後の曲です。ありがとうございます」(出戸)と短く挨拶をし、ラストは“夜の船”へ。ゆったりとしたメロウなメロディと情景的な歌詞が丁寧に編まれ、スッと胸に染み入ってくる。先ほどの熱狂から一転ひとりひとりが静かに耳を傾け、最後は極彩色のコントラストを生み出した彼らに、大きな拍手と歓声が送られた。至福の時間だった。(岡崎咲子)
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