レポート一覧

ASTRO ARENA19:40

痛みを知るゆえの優しさと強さを鳴らし、3人は未来へと進む

つい先日、新たなアー写ととともに新作に向けて制作活動をスタートしたことをアナウンスしたLyu:LyuがASTRO ARENAに登場した。ステージに現れた3人は、その新しいアー写と同じ衣装。髪色とパンツが深みあるレッドとなった純市(Bass)、パリッとスーツを着こなす有田清幸(Drum)、コヤマヒデカズ(Vocal, Guitar)はブラックとレッドを基調にした強いカラーの衣装に、プラチナブロンドの髪色が映えている。
そんなニューモードの3人がステージに揃って会場が温かな拍手で包まれるなか、コヤマが大きく息を吸い込む。1曲目は“それはある夜の出来事”。コヤマの繊細なヴォーカルが、有田の力強いドラムとメロディアスに歌を支える純市のベースで、徐々にパワーを増して会場に響き、観客の心をとらえていく。静かで、でもたしかな強さを持ったはじまりだ。

「COUNTDOWN JAPAN、この時間、この場所を選んでくれてどうもありがとう。Lyu:Lyuです、よろしく」(コヤマ)という言葉とともに、ノイジーにギターをかき鳴らしてスタートしたのは“ランララ”。跳ねたビートが妖しいムードを醸し出すロックンロールに会場が沸く。コヤマのヴォーカルは、内なる沸々とした思いのすべてを、シャウトや、痛みに震えるような繊細さで、また願うような優しさで、エモーショナルにはきだしていく。続く“暁”では、シンプルな3ピースのギターロックを、表情豊かに聴かせていく。有田は途中、ドラムの椅子に立ち上がって、スーツの襟をびしっと正してからフロアを煽り、歓声を浴びた。

後半は2014年にリリースしたミニアルバム『GLORIA QUALIA』から“メシア”と、同じく2014年のシングル曲“ディストーテッド・アガペー”を披露した。癒えることのない痛み、「普通に」生きていくことの困難さ、自分の存在のうしろめたさなど、ふとした時にうずいてしまうネガティヴな思いや、言い知れない鈍痛を、ノイジーなサウンドに変え、言葉にしていくLyu:Lyu。その音からは心を切り裂いていくような痛みも感じ取れるけれど、そこには同時に、そんな痛みを抱えるのはひとりじゃないという、手をつなぐ温かさもある。 熱い視線を注ぎ、歓声を上げ続ける観客に向けて、“ディストーテッド・アガペー”の曲中でコヤマが叫ぶ。「これまでみなさんが俺たちを見つけてくれた。来年は、俺たちがみなさんをもっと大きな舞台に連れていきます」。ありったけの声を絞り出すようにして伝えたこの言葉とこのステージに、新しいLyu:Lyuの強さと美しさが見えた。(吉羽 さおり)

この4日間のすべてを詰め込んだ別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 各アクトのセットリスト、厳選ライヴ写真を掲載した永久保存版の一冊!

RO69アーティストページへ

CIVILIAN

このレポートをシェアする

Amazonギフト券1,000円分プレゼント!
RO69公式Twitter クイックレポート更新情報もツイート中!