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MOON STAGE18:30

どこまでもしなやか、はてしなく強靭

結成から22年、デビューから18年。今年1月に、スピードスターレコーズ移籍一発目のアルバム『Burning tree』をリリース、10月には“EVIL EYE”を配信、12月に両A面シングル『EAST OF THE SUN / UNOMI』を発売。
そして年明けの2月3日には、わずか1年のインターバルで(と言っていいと思う、このキャリアなので)ニューアルバム『BABEL,BABEL』が控えているGRAPEVINE。今日のステージ、『Burning tree』の曲で始まるか、その後のシングルか、それともまだ見ぬニューアルバムから何かやるか──。

とか思いつつ待っていたら、1曲目からいきなり“光について”! この、最初にGRAPEVINEの名を世に知らしめた名曲で始まったあとは、“EVIL EYE”“EAST OF THE SUN”“Our Song”“スロウ”、そしてシメは“Silverado”──と、最新曲と過去の代表曲を織り交ぜる構成……いや、ラストだけちょっと意外か。今年のツアーで久々に披露された、2011年のアルバム『真昼のストレンジランド』の曲です。でもハマっていた、終わると同時に何かが始まっていくような響きを、曲が放っていて。

デビューの頃から「ほんとに新人か?」と言いたくなるくらいガッチリした演奏のバンドだったし、特に現体制(ヴォーカル&ギター田中和将、ギター西川弘剛、ドラム亀井亨、サポートでベース金戸覚とキーボード高野勲)になって以降、いついかなるところでも、プレイにおいても歌においてもコケているところなど見たことがない、そんなGRAPEVINEだけあって、今日も完璧。隙間だらけなのに強靭なアンサンブル。

ちょっと身体を揺らしている人もいるが、大部分のオーディエンスは突っ立ったまんま。踊ることにも一緒に歌うことにも適していない、ただただステージを凝視しつつ全身を耳にして脳を音楽に委ねていくことしかできない、長年にわたって各地のライヴハウスやホールやフェスで作り上げてきた「GRAPEVINEのすばらしき世界」が、今年のMOON STAGEでも、1曲目からラストまで見事に形成されていた。
そもそもフェス自体が異空間だけど、その異空間の中でもさらにこの時間のMOON STAGEだけ、もうひとつ別の異空間のようだった。これなんだよなあ、これがGRAPEVINEなんだよなあ、ほかの誰にもできないんだよなあ……と、観るたびに思うわけだが、今日もやっぱりそう思い知らされた。個人的なハイライトは、“Our Song”“スロウ”と、エモーショナルなメロディの2曲が続いた瞬間だった。

田中、“EVIL EYE”と“EAST OF THE SUN”の間にMCを入れ、ニューアルバムとツアーの告知をした(「節分アルバム」だそうです)。最後は「どうもサンキュー、GRAPEVINEでした、よいお年を。また来年」とあいさつして、ステージを去った。なんとなく軽やかだった、身にまとっているムードが。(兵庫慎司)

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GRAPEVINE

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