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EARTH STAGE13:15

衝動と狂騒にまみれ、2015年のその先へ!

だら〜んとステージに歩いてきたかと思いきや、中心まで来たところでビャッと両手を振り上げた尾崎世界観(Vo/Gt.)。「どうも、ローソンの店員です」と挨拶。「2万円以上するシャツを着てきたのにこんなになってしまいました。大事な時にいまいちキメきれない私ですが、この大歓声にロックスターになりたいと思います」と1曲目の“おやすみ泣き声、さよなら歌姫”へ。泣いてるみたいなハイトーンヴォイスで熱唱する尾崎の横で、小川幸慈(Gt.)がにこやかにステージ前方へと歩み出て雄弁なギターソロを奏でる。あまりにもエモーショナルな幕開けに、初っ端から胸を掻きむしられるような気持ちに。

2曲目、尾崎が着ている某店員みたいなシャツは爽やかだが、歌っている内容は爽やかにはほど遠い“エロ”。終わりが透けて見えているような今という虚しさと、その虚しさをかき消すような情熱との板挟みの中で揺れ動きながらも、それらを全部突き抜けるような衝動が彼らのライヴにはあって。オーディエンスもそんなエネルギーに触れたくて、こうして数万人もの人が集まって手を上げているんだろう。
そして「あの2015年の先へ気持ちよく行けるように歌います」の言葉で始まった“オレンジ”では小泉拓(Dr.)によるどっしりとしたビート感と共に手拍子が沸き、一転して青の世界へと様変わりした“リバーシブルー”ではオーディエンスが魚のように飛び跳ねながら手を突き上げた。

「このステージ(EARTH STAGE)は3回目、毎年こうやって大きなところでやれて嬉しいなと思っています。何かを得ると失うことが怖くなるけど、そんな恐怖心さえ嬉しい。また別のステージになって、ここじゃなくなっても、やめれないと思いますのでよろしくお願いします」と、尾崎は胸の内を語る。
その後は真冬に歌われる夏の歌“ラブホテル”で数万人を歓喜の渦に巻き込んでいく。曲の途中では「大変個人的な話なんですけど、父・マサルと今、喧嘩してまして」と、親孝行しようと両親と食事に行った先で、父親のご飯の食べ方を指摘して喧嘩になったという話を盛り込んでくる尾崎。しかも「このクイックレポートは見ると思うので、これを使ってクイックに仲直りしたいと思います」と(えっ……責任重大!笑)。「ご飯をポロポロ落としてもいいじゃないという気持ちで盛り上がってください、大サビにいきます」と再び曲へ。こんなに大きなステージに立って冒頭ではロックスター宣言までしたのに、やっぱり滲み出る生活感。でも、ここにいる誰もがそんなカッコつかない生活感の中で生きているからこそ、私たちはクリープハイプの音楽から逃れられないのだ。その共鳴は数万人規模の大きなエネルギーとなって、続く“憂、燦々”でもキラキラと輝いた。

終盤、「今年も楽しかったですね」と客席に語りかける長谷川カオナシ(Ba.)。
そして「大事な曲があと2曲あります」と尾崎が言い、“社会の窓”とラストの“HE IS MINE”でEARTH STAGEが大きく揺れた。
「このしょうもない一言にどろどろしたいろんな気持ちを吐き出してください。どうせこれからいろんなバンドを観て、いろんなバンドとそういうことをするんだろうが、でもクリープハイプのことを忘れないでください」なんて尾崎が煽ったあとの「SEXしよう!」――みんな声、デカすぎ!
クリープハイプ、オーディエンスの期待を大きく背負った圧巻のアクトだった。(上野三樹)

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クリープハイプ

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