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GALAXY STAGE13:05

ほかのどこにもない空間、どこにもない時間

「リハーサルやりまーす」と川谷絵音(Vo/Gt)が言ってサウンドチェックをしていた時には歓声が飛んでいたのに、“雫に恋して”でライヴが始まると、オーディエンス、じーっと固まってしまうのがおもしろい。そういう曲だから、ではなく、次のアップテンポでポップな“夜汽車は走る”になってもリアクションは同じ。四つ打ちで軽快なリズムの“瞳に映らない”では、Aメロになるたびにリズムに合わせてハンドクラップが起きるが、Aメロが終わるとそれも止まる。もちろん盛り上がってないとか言いたいわけじゃない。フロア、後ろまでみっちり人が入っているし、みんなこの場に釘づけだし、男も女もみんなキラキラした目で、そしてすごい集中力で、ステージを凝視している。つまり、いわば「indigo la Endに相対する時の最初のセオリー」が、この巨大なステージにおいても成立している、ということだと思う。
歌い終わって絵音、「ありがとう」とひとこと。大きな拍手が湧く。そしてドラムソロとベースソロの掛け合いにあのコーラスがかぶさり、“悲しくなる前に”へ。複雑かつ軽やかなリズムにあおられてか、美しいメロディにつられてか、この曲のサビあたりからフロアのあちこちで腕が挙がり始め、それは長田カーティス(Gt)の流麗なギターと間奏のコーラス(byサポートのササキミオ&ハットリエツコ)が印象的な“夜明けの街でサヨナラを”で、さらに増えていった。

「indigo la Endは去年からCOUNTDOWN JAPANに出演していて、今年は2年目なんですけど、GALAXY STAGEに出られてうれしいです。毎回 僕はふたつのバンドで出ていて、今年はひとつしかなくてさびしいんですけど、来年はふたつともEARTHでやれたらいいなと思ってます」という言葉に続いたのは、来年2月3日リリースのニューシングル“心雨”。R&Bの入ったバンドサウンドの上をすべるように進む絵音のヴォーカル。メロディに魔法をかける力を持った声と、声に魔法をかける力を持ったメロディ、その両者がやわらかにせめぎあっているような、幸福な音楽体験。いつの間にかオーディエンスみんな、腕を挙げたりするのを忘れて「じいっと集中」状態に戻っている。次の“忘れて花束”でも、その状態が続く。何か、不思議な空気がGALAXY STAGEを包んでいる、いつの間にか。
ピアノのイントロにかぶせて、絵音、「あの、すごい私事なんですけど、去年COUNTDOWN JAPANの時、幕張のホテルに虫がいっぱい出て、幕張一生来たくないと思ったんですけど、今日来れてよかったです」と笑わせ、「あと31日は、COUNTDOWN JAPANに来る人はあれですけど、家にいる人はNHK観てください」と初出場となる紅白歌合戦を宣伝し、歌ったラストチューンは“夏夜のマジック”だった。《暮らしの中で生まれる歌を歌って 幸せ悲しみ摘んで 想いながら歩いた》という、普通なことを歌っているようにも思えるのになんだかやたら感動的なラインが、いつまでも耳に残った。(兵庫慎司)

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indigo la End

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