レポート一覧

EARTH STAGE19:30

その時、サカナクションは音楽で奇跡を描いた

COUNTDOWN JAPAN 15/16、3日目のフィナーレを飾るのは、2年ぶり出演のサカナクション! 草刈愛美(B)の産休を経て、現在は「SAKANAQUARIUM2015-2016 "NF Records launch tour"」を開催中の5人、まずはステージ前面にPCを並べたクラブスタイルで“ミュージック”を披露。ミニマルなビートとともに響く山口一郎(Vo&G)の歌声が、やがて巨大なダンスの輪とシンガロングを描き出し、会場の後方までぎっしり埋まったEARTH STAGEを歓喜で大きく揺さぶっていく。曲のブレイク中に素早くバンド編成にチェンジすると、オーディエンスの歌声は天井知らずに高まり、荘厳なまでの多幸感を生み出していく。

「帰ってきました。サカナクションです!」。山口のコールに沸き返った大歓声を、“アルクアラウンド”の凛としたサウンドスケープが熱く煽り、地鳴りのようなクラップと大合唱を巻き起していく。江島啓一(Dr)&草刈のタイトかつしなやかなグルーヴが、数万人の情熱を刻一刻と突き動かし、岩寺基晴(G)のストロークと岡崎英美(K)のシンセワークが熱気を心地好くかき混ぜていく。ロックもクラブミュージックも血肉化し別次元のフォーマットへと昇華したサカナクションの音楽世界を、山口の歌と佇まいが力強く牽引し、EARTH STAGEを高揚の果てへと導いていく。

さらに息もつかせず“セントレイ”“モノクロトウキョー”を連射! 曲中で「COUNTDOWN JAPAN!」「幕張!」(山口)と意気揚々と呼びかけながら、オーディエンスの大合唱とダンスに全力で応えていく。「みんな、まだまだ踊れる?」と繰り出した“夜の踊り子”では艶やかな和服姿の踊り子が左右袖に登場、天空に飛び交うレーザー光線とともに、満場の熱気に鮮烈な彩りを与えてみせた。真っ直ぐに眼前を指差し、遥か頭上を指し示しながら歌う山口の姿は、音楽の開拓者としての揺るぎない意志に満ちていた。

「2015年12月30日! ここ幕張メッセに集まったみんな! まだまだ、まだまだ踊れるか! じゃあ、一緒に、疲れるまでこの会場を踊って揺らそう!」というコールから“SAKANATRIBE TRANCE MIX”へ突入! 踊り子が踊り、岩寺&草刈が激しく太鼓を打ち鳴らす中、黒衣ダンサーと山口が両手に持ったネオンのように光る棒を勢いよく回すと、「サカナクション」「COUNTDOWN JAPAN 15/16」の文字が浮かび上がる! 広大な会場が一面のダンスに揺れ、舞妓の扇子の動きにあわせてハンドウェーブが巻き起こる――といった展開にあふれ返る祝祭感が、“アイデンティティ”で極限爆発! 山口も思わず「すげえ!」と叫ぶほどの歌声が噴き上がり、数万人の腕が大きく左右に振れていく。

“アイデンティティ”のアウトロとクロスフェードする形で鳴り渡った“ルーキー”がEARTH STAGEの空気をなおも熱く震わせたあと、山口が草刈の妊娠・出産と無事復帰を報告すると、「おめでとう!」の声があちこちから沸き上がる。「2015年は僕らにとって、正直言って山から谷へ下っていくような体験もあって。『音楽続けるのってほんと大変だな』って感じた1年でした」と山口が語る。「だけど、いろんな人に支えられ、そして――1年、2年もライヴやらないのに、こんなにたくさんの人が集まってくれてるなんて……こんなに幸せなことはありません! 2016年は新しいアルバムを作って、また全国ツアーを回りたいと思います」という言葉に、拍手喝采が広がる。さらに、現在開催中のツアーの追加公演を3月12日に台湾、4月9日・10日に幕張メッセで開催することを発表。驚きと喜びの声が大空間を埋め尽くしていく。本編ラストを飾った最新シングル曲“新宝島”が、サカナクションと僕らの「その先」への凱歌のように強く、雄大に響いた。

アンコールで再び登場した5人が「みなさん、よいお年を!」(山口)と最後に鳴らしたのは“Aoi”。「手を挙げろ!」という山口のコールに応えて、満場の観客の手と歌声が高々と突き上がり、サビではEARTH STAGE一丸のジャンプで地面が揺れる! 真摯な音楽探究心と、時代を切り拓く意志だけが描き得る、最高にエモーショナルな世界が、ここには確かにあった。(高橋智樹)

この4日間のすべてを詰め込んだ別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 各アクトのセットリスト、厳選ライヴ写真を掲載した永久保存版の一冊!

RO69アーティストページへ

サカナクション

このレポートをシェアする

Amazonギフト券1,000円分プレゼント!
RO69公式Twitter クイックレポート更新情報もツイート中!