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PARK STAGE 18:40

静かに濃密に、3人のドラマを紡ぎあげたplenty

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015初日、PARK STAGEのトリを飾るのは、plenty。荘厳なSEが流れると、サウンド・チェック時から静かに3人の動きを見つめてきた観客が、グッと前のめりになって拍手を送り、歓声を上げる。1曲目は、“イキルサイノウ”。そよそよと気持ちのいい風に、江沼 郁弥(Vocal/Guitar)のハイトーン・ヴォイスが混じって、ヒリヒリと体をなでていく。中村 一太(Drum)と新田 紀彰(Bass)がじっくりと紡ぎあげていくビートと同じスピードで、徐々に、徐々に空の色が変化していくようで、なんともドラマティックだ。続く“よい朝を、いとしいひと”は、7月にリリースしたばかりの曲で、こちらもスロウなビートが心地いい。静謐さとノイズとが反転しあって展開するサウンドと、美しいメロディとのハーモニーがファンタスティックで、観客はその甘美な音を1ミリも逃さないように、ステージに食らいついている。そんな観客の静かな熱が、伝わってくる。
「気持ちいいですね」と改めて目の前の景色を見てぽつりとつぶやく、江沼。言葉少なく、中盤はグッとアグレッシヴな曲をプレイ。焦燥感のあるドラム&ベースにノイジーなギターが絡む“先生のススメ”。そして豪快なギター・リフで描いていく“待ち合わせの途中”を立て続けに演奏すると、思わず「ああ、暑い!」と江沼が声を上げる。そして、“枠”では、ひょろりとした体を折り曲げて、激しくギターをかき鳴らし、美しくも繊細な高音で観客をplentyの世界へと引き込んでいった。




「陽が落ちましたね。ここからベースの新田がしゃべります」と江沼にMCを振られた新田は、「今年はトリです。ありがとうございます」と観客へと手を振り、「茨城は地元なので、うれしいです。これからもplentyをよろしくお願いします」と付け加えた。トリだとはいえ、熱かったり、大げさなコメントで煽るわけではない。なんとも平熱な言葉に、観客の間にもじわりとあたたかな笑いが広がった。静かに、淡々とドラマを刻んでいく感じが、とても「らしく」ていい。
こうした野外という空間、そして夜というシチュエーションにぴたりとはまる“空から降る一億の星”、そして「トリっていうのは、時間を少し多めにもらえまして。ほんとはアンコールのために多めにもらえているんですけど、アンコールがなかったら怖いので(笑)。このままやらせてもらいます。みなさん、お元気で!」(江沼)という言葉から、ラスト曲“蒼き日々”が演奏された。ディストーションがかかったギターを豪快にかき鳴らしながらも、アッパーな昂揚感があるわけでも、一体感たっぷりでジャンプさせるでもない、マイペースに自分の世界を照らし続け、叫びをあげるステージ。3人の形を貫いたライブに、いつまでも熱い拍手や歓声が送られた。(吉羽 さおり)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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