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GRASS STAGE 13:10

夏と向き合うロックンロール、その絶妙なる味

2日目の昼下がり、サウンドチェックで“ワンダーフォーゲル”や“ブルー・ラヴァー・ブルー”を奏で、さっそく笑顔のフィールドを作り上げてしまったくるり。現在はファンファン(Trumpet, Keyboard, Vocal)が産休中ということで、今回は岸田 繁(Vocal, Guitar)と佐藤 征史(Bass, Vocal)に、野崎 泰弘(Keyboard)、松本 大樹(Guitar・Chorus)、mabanua(Drums)と3名のサポートメンバーを迎えた5ピース編成だ。



「今日、このステージ上で、暑いという言葉が何度呟かれたか、数えてる人はいますか? 俺は暑いとは言わんよー。今日はあったかいねえ」とユルユル笑いを誘いながらプレイされる本番の1曲目は、シングル『Remember me』のカップリングに収録されていた、フォーキーなアレンジが涼しげに風を巻くような “Time”だ。続いてはなんと、そのまま岸田がアコギ、松本によるバンジョーの音色も差し込まれる、オーガニックなスタイルの“ブレーメン”である。暑さに熱さで対抗せず、心地好い音色でやり過ごそうとするような、極上のライヴ体験である。



エレキギター2本の編成にシフトすると、ストレンジな楽曲に込められた情緒が際立つような“Liberty&Gravity”、サーフィンポップ風の音色でまたもや上手に夏と向き合う“everybody feels the same”とパフォーマンスを続ける。柔らかいピアノが転がってハーモニーに彩られる“ばらの花”などは、どっぷりと浸りながら芝生に寝転がって聴きたいくらいだ。「あったかい夏の曲を」と岸田が一言添えて繰り出されるのは、エリアいっぱいにエモーションを染み渡らせる“東京”だ。泣ける。



メジャーデビュー時期のシングル曲を立て続けに放つ形で“虹”を届けると、「みんなほんと、楽しい夏休みをお過ごしください。くるりでした」とシンプルに言葉を挟み、ダメ押しは晴れ渡る空の下の“ロックンロール”だ。ツボを押さえた選曲、カッコ良すぎだろう。来年には結成20周年を迎えようとしているくるり。まだまだロックで驚かせてくれることを確信させてやまない、素晴らしいステージであった。(小池宏和)

この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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