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GRASS STAGE 18:30

誰よりもハッピーで、誰よりもバカみたいで、誰よりもせつない

さっきまでPARK STAGEの安藤裕子の後ろでドラムを叩いてた伊藤大地がビートを刻み始めると、星野 源、ダッシュでステージ中央に到達して深々とお辞儀、セミアコを抱えて歌いだした1曲目は“ギャグ”。で、次は “化物”。という最高な始まり方。

「改めまして、星野 源でーす! すごい! この景色すごい! ありがとうございます!」と、何度も感謝の言葉を口にしたあとは、「みんな、日焼け止め塗った?」 という定番のフリから“夢の外へ”。《自分だけ見えるものと/大勢で見る世界の/どちらが嘘か選べばいい/君はどちらをゆく/僕は真ん中をゆく》というライン、この場で聴くと新しい意味が加わったようでグッとくる。「みんなが全員違う踊りを踊ってるところが見たい。かっこ悪くてもいいんだ、みんなが自分の踊りを踊っているところが見たい」と、THE BLUE HEARTSやじゃがたら江戸アケミやソウル・フラワー・ユニオンのような──つまりすごく重要なことを伝えるMCから “SUN”へ。歌い終えると「茨城全体に響く声を聴きたいんだ! 無理? じゃあ、大洗町ぐらいまで届く声を聴きたい!」と、巨大な「源!」コールを起こさせ、大喜び。



「でも次はしっとりした曲をやるので、カップルはセックスを始めてください……って、先週、別のフェスでも言ったんだけど、ここ、6万人いるじゃん? だったらほんとにする人がいるかもしれないじゃん」。みんな大笑い。で、“くせのうた”、そして“くだらないの中に”……あの、誰もセックスしないと思う、聴き逃がすのがもったいなくて。「みんながすごい跳ねてくれたら、楽しい地獄になると思います」と、“地獄でなぜ悪い”。次で最後の曲だけどアンコールが2曲あることを明かした上で、あとちょっと下ネタもはさんだ上で、“桜の森”。ものすごい多幸感とハンドクラップがGRASSエリアに広がる。



そしてアンコールは……先週フジロックで「これ、全部のフェスでやります」って宣言してたからやるんだろうな、と、みんなにお礼をのべる影アナ(by寺坂直毅。でもさっき本人「ひたちなか行きたい。」ってツイートしてたからたぶん録音)を聴きながら思っていたら、やはりニセアキラで登場、“君は薔薇より美しい”を熱唱。メンバー紹介、そして大地くんとのミニコントというかドラムvsダンスでバトルというか、そんなことをひとしきりやった挙句、ステージの左右の端から端まで走り回り終えてひとこと、「いまだかつて、GRASS STAGEをこんなにムダに使った奴はいないだろう」。あっはっは。同意します。 そして、「ちょっとまじめな話するぞ。こんなステージで、生きていて、こんな景色を見れるとは、俺は思っていませんでした」「意外と、自分が奇跡だ、ありえない、と思ってることは、起きるんだと思います」という超いいMCのあと、「みんなのヘドバンが見たい」と“Crazy Crazy”で、全編が終了しました。



にしても。日本武道館も横浜アリーナも先週のフジのグリーンもそうだったけど、どんなに大きいステージに立っても、「ついにここまできた」みたいな感じがしない、この人。いつも何か、そこに立っているのが当然に見えてしまう。さっきのMCからすると本人は全然そう思ってないんだろうけど、僕にとってはそうだ。それがほんとにすごいよなあ、と、いつも思います。今日も思いました。(兵庫慎司)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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星野源
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